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2021.12.8

M&A業界への転職で必要なスキル・資格は?失敗しないための転職ガイド

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いまM&A業界において、人員強化の波が押し寄せています。

実際に大手M&A仲介会社のストライクは、2022年を目処に人員を1.5倍(200人弱)に増やすと発表しました。三菱UFJ銀行でも、事業・資産の承継を専門とする担当者を、2022年3月末までに倍増させる計画を示しています。

出典:ストライク、2年後に人員1.5倍に
三菱UFJ銀、承継事業の人員倍増 高齢経営者のM&A支援

その背景となるのが、日本企業によるM&A件数の右肩上がりの成長です。とくに今後、少子高齢化などで中小企業による事業承継の需要が高まるなか、M&A業界における人員獲得の動きはさらに高まっていくことが予想されます。

こうした業界全体として人員増の潮流となるなか、採用の対象となるのは業界経験者だけではありません。当然、業界経験のない方も採用の対象となります。

この記事では、どういった方であればM&A業界で採用される可能性があるのか、気になる以下の悩みについて解説していきます。

・M&A業界に転職したいけど、自分が向いているかどうか分からない
・M&A業界への転職で必要なスキル・資格が知りたい

M&A業界への転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

M&A業界とは


そもそもM&Aとは、企業の合併買収のことです。具体的には、複数の企業を1つに統合(合併)したり、ある企業が他の企業の株式や事業を買収したりすることを指します。

とくに近年、「後継者不足の解決」「事業領域の拡大」「海外展開におけるリソース確保」など、経営における課題解決の有効な手段として選ばれるようになりました。

こうした企業がM&Aを実施する際、重要な役割を担うのが、M&A業界です。

M&A業界では、M&Aの買い手・売り手の間に入り、交渉から各種手続き・契約締結までをサポートしています。成約時に発生する仲介手数料が、主な収益です。

M&A業界で働く場合、M&AコンサルタントやM&Aアドバイザーとして従事するパターンがあります。詳しい業務内容は以下の記事で解説しているので、こちらもぜひ読んでみてください。

▼関連記事
M&Aアドバイザリーの役割と業務内容|契約時の確認点や報酬も解説

M&A業界への転職は年収1,000万円以上を目指せる

M&A業界への転職を考える上で、大きな魅力といえるのが高年収を目指せることです。

もちろん転職する企業や自身の年齢、スキル、経験にもよりますが、おおむね平均年収は高い傾向にあります。一例として、M&A仲介会社(上場企業)の平均年収ランキングをご紹介しましょう(東洋経済オンライン発表)。

上場企業の平均年収ランキング(M&A仲介会社のみを抜粋)

順位 社名 平均年収
1位 M&Aキャピタルパートナーズ 2,478万円
3位 GCA 2,063万円
6位 ストライク 1,539万円
11位 日本M&Aセンター 1,413万円

参考:東洋経済オンライン 平均年収「全国トップ500社」最新ランキング

上記をご覧いただけるとわかるように、大手M&A仲介会社であれば、平均年収は1,000万円を優に超えます。当然、業界未経験から入社したとしても、年収1,000万円以上を目指すことが可能です。

M&A業界への転職は難易度が高い

一言でM&A業界といっても、さまざまな業態、業務をおこなう会社が存在します。上記で取り上げたM&A仲介会社をはじめ、銀行・証券・ファンドの投資銀行部門や、コンサルティングファームのM&Aアドバイザリー、事業会社の投資部門などが一例です。

これらの転職難易度は、総じて高い傾向にあります。多くの企業が採用において、金融業界などの実務経験を求めるためです。つまりM&A・金融業界から離れた職種で働く方にとっては、転職に高いハードルがあります。

ただし異業界からの転職が不可能かといえば、そうではありません。

業界経験がない方にも、門戸を開いている企業が存在するためです。たとえばM&A仲介会社でいえば、営業経験と高い交渉力があれば、業界経験は不問とする募集も少なくありません。

これは高騰するM&A需要を背景に、大幅な人員強化をはかっている企業があるためです。市場に該当する人材が限られるなか、育成を前提として、ポテンシャルでの採用がおこなわれています。

M&A仲介は、経営者と交渉する場面も多い仕事です。そのため、こうしたハイレイヤーの方ともうまく関係性を構築し、交渉できる経験やスキルを持った人材は、採用され、活躍できる可能性があります。

M&A業界への転職が向いている人の特徴

それではどういった人が、M&A業界への転職に向いているのでしょうか。その特徴をご紹介します。

スキルアップを目指したい人

M&A業界は経営に関わる、幅広い仕事に携わることが可能です。そのため金融の知識はもちろん、以下のようなスキルや知識を身につけられます。

  • 経営
  • 法務
  • 会計
  • 税務
  • 労務

こうした知識や経験は、他の業界でも重宝されます。事業会社の経営企画やコンサルティングファームの経営コンサルタント、さらにはスキルを活かして独立を目指すなど、キャリアの選択肢を広げることが可能です。

大きなお金を動かす仕事をしたい人

M&Aで動かす金額は、中小企業の売却案件でも数億から数十億の規模です。

億単位の金額を動かす仕事は、他の業界ではなかなか経験できません。大手企業といえども、関われる人はごく一部に限られます。

貴重な経験であることはもちろん、経営の上流から大規模な金額を動かすスキルを身に着けることが可能です。将来、独立や起業を考える方にとっても、非常に貴重な経験・スキルとなります。

人脈を増やしたい人

M&Aの仕事の特徴のひとつが、多様なレイヤーの人たちと日常的に関わり、人脈が広げられる環境にあることです。

折衝をおこなう経営者はもちろんのこと、社内のさまざまな部門で働く人、さらに銀行や弁護士など社外の人ともコミュニケーションを取ります。

ここで培った人脈を武器に、将来的な転職や独立を考えることも可能です。

大きな達成感を味わいたい人

M&Aは、経営者にとっても企業にとっても、将来を左右する非常に大きな決断です。そのため、経営者や会社にとってベストな選択肢を実現した際には、その感謝の声も大きなものとなります。

当然、相応のプレッシャーが生じますが、大きな達成感を得ることが可能です。

また、M&Aはすべてに共通するマニュアルは存在せず、案件ごとに違った学びや刺激を手にすることができます。

M&A業界への転職で失敗・後悔しやすい人の特徴

逆に、M&A業界への転職で失敗しやすい人、後悔しやすい人はどういった人なのでしょう。その特徴を紹介します。

仕事よりもプライベートを優先したい人

M&Aは企業の命運を握る、大きな責任のある仕事です。複数の案件が並行して進むこともあり、一般的に多忙であるといわれます。

当然、近年では働き方改革が推進され、残業時間は削減されている傾向です。しかし、他の業界と比較すれば、勤務時間が長時間になるのは覚悟しておく必要があります

そのため、仕事よりもプライベートを優先したい人には向かない仕事です。

チームでの仕事が苦手な人

M&Aは個人プレーではなく、その多くがさまざまな役割を持った人たちと協力しながら進める、プロジェクトベースの仕事です。

そのためいくら高いスキルを持っていても、チームで協力し、仕事を進められない人は苦労する傾向にあります。

M&A業界への転職で求められるスキル

ここからは、M&A業界への転職で求められるスキルについて解説します。

金融・財務知識

M&Aは企業経営の根幹に携わるため、金融・財務の知識があることは必須となります。実際に、M&A業界への転職者をみれば、金融機関出身者が非常に多いです。

一方、採用において金融・財務知識を必須としない企業も存在します。しかし、仕事上必要なことは変わりないため、入社後に知識を身につけていくことになります。そのため知識が十分でない人は、学ぶ姿勢や意欲を示すことが大切です。

また、金融・財務の知識だけでなく、経営に関する知識やバランス感覚があることをアピールできると転職に有利です。経営に関する経験や知識をお持ちでない場合は、専門書などで知識を付けておくことが大切です。

営業力

M&A業界では、新規案件の獲得も仕事のひとつです。営業経験を採用条件としている企業もあり、営業力は必須となります。

たとえば法人営業の経験があれば優遇される傾向にあり、前職での実績をアピールすることが評価につながります。

コミュニケーション力

M&Aは、経営者とのやり取りが多い仕事です。そのため、会話のなかから潜在的な課題を見つけたり、その上で適切な提案をおこなったりと、さまざまな場面でコミュニケーション力が必要とされます。

採用にはコミュニケーション力がひとつのポイントとなり、面接時には会話の一つひとつから能力を量られていると考え臨んだ方が、よい結果につながります。

英語力

とくに近年、海外企業とのM&Aも活発となっています。こうした海外案件に従事する場合、ビジネスレベルの英語力が必要です。

当然、国内企業同士のM&A支援であれば、英語力は必須ではありません。しかし、今後さらなる海外案件の需要の高まりが予想され、英語力は身につけておくべきスキルのひとつとなっています。

M&A業界への転職で有利になる資格

続けて見ておきたいのが、M&A業界への転職で有利になる資格についてです。民間資格と国家資格にわけてご紹介します。

民間資格

M&A業界への転職で有利になる民間資格は、以下となります。

資格名 概要
M&Aエキスパート 日本M&Aセンターと金融財政事情研究会が共同運営している民間資格。とくに中小企業の事業承継の観点から、M&Aに関する実践的な知識を身に着けられる。
M&Aスペシャリスト 日本経営管理協会(JIMA)が認定している民間資格。中堅・中小企業の事業承継に関わる上で、重要なテーマである合併・買収・事業譲渡(M&A)の知識が身につけられる。
M&Aアドバイザー 一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)が認定する民間資格。講座の受講によって取得でき、M&Aアドバイザーであることが証明できる。

国家資格

M&A業界への転職で有利になる国家資格は、以下となります。決して簡単に取れる資格ではありませんが、保有していれば転職活動に非常に有利です。

資格名 概要
弁護士 いわずとしれた、最も著名な国家資格のひとつ。M&Aに関わる事前調査(デューデリジェンス)、締結手続きなど、幅広い業務に関われる。
公認会計士 財務の最高峰の資格。資格があることで、M&Aの計画立案にも携わることができる。
税理士 税理士資格を持つことで、M&Aに関わる財務上の点検を一手に引き受けることも可能。
司法書士 M&Aにおいて不動産取引や組織再編が伴う際、不動産登記や商業登記が必要。こうした場面で司法書士の力が必要とされる。

M&A業界への転職でよくある質問

ここからはM&A業界への転職を考える際、よくある質問について回答していきます。

未経験でもM&A業界に転職できますか?

経験はあった方が有利ではありますが、経験がなくとも転職は可能です。

その場合、育成を前提としたポテンシャルでの採用となるため、学ぶ意欲や姿勢が重要となります。また、前職で培った営業力や交渉力、コミュニケーション力はアピールポイントとなります。

M&A業界に高学歴は必須ですか?

必須ではありませんが、高学歴が優遇される傾向はあります。

学歴に自信がない場合、これまでに培ったスキルや経験でカバーすることは可能です。

M&A業界は激務ですか?

企業やポジションで異なりますが、他業界と比べ、労働時間は長い傾向にあります。

見返りとして相応の報酬を得られる環境がありますが、ある程度忙しいのは覚悟しておくべきです。

M&A業界でフリーランスになる選択肢も!独立のメリット3つ

M&A業界での仕事を検討する際、仲介会社への転職だけでなく、フリーランスのM&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーになるという選択肢もあります。

ここからはフリーランスとして働くメリットについて、ご紹介していきます。

努力次第で就職するよりも高年収を目指せる

M&Aコンサルタントの仕事は、1件当たりの成果報酬が高い傾向にあります。複数の高単価案件を受け持つことで、企業に属するよりも多くの収入を得ることが可能です。

可処分時間は会社員でもフリーランスでも変わらないため、いかに単価を上げられるかが年収アップの鍵となります。もちろんスキルがなく、高単価の仕事が受注できなければ稼ぐことはできません。

仕事の選択肢が広がる

企業での勤務と比較して、フリーランスでは自身の興味関心の強い案件や得意な案件に絞って仕事を受注することができます。

フリーランスであれば、会社都合によって異動やプロジェクトの配置変えが生じることもありません。

働く場所・時間を選べる

働く場所や時間を選べることも、フリーランスのメリットのひとつです。働き方の自由度が高く、企業で働くよりストレスを感じにくい環境と言えます。

まとめ

M&A業界は高収入が目指せる一方で、転職難易度が高い傾向にあります。

しかし業界経験のない方でも、目指すことは可能です。そうした場合、金融や経営の知識、営業力や交渉力、コミュニケーション力などの必要とされるスキルを磨き、アピールすることが採用の近道となります。また、M&Aに関係する資格を取得しておけば、転職に有利となります。

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