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2021.11.12

ITコンサルは激務?転職で失敗しないために知っておくべきこと

コンサル募集

IT業界の中でもトップクラスの年収と言われる「ITコンサル」。SEなどからキャリアアップしてITコンサルを目指す人も多い一方、「ITコンサルは激務」という噂を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?

本記事では、ITコンサルの実情やITコンサルに転職する前に知っておくべきこと、SEからITコンサルへの転職を目指すときの注意点、ITコンサルへの転職を成功させるための5つのポイントについて解説します。

ITコンサルタントとは


ITコンサルタント(以下、ITコンサル)とは、IT関連分野全般に関わるコンサルテーションをクライアント企業に提供する専門家です。

ITコンサルタントの業務領域は主に6つに分かれます。

IT戦略コンサルタント 企業課題を解決するためのIT戦略の立案、立案に基づく具体的なシステム開発の主導や既存システムの最適化など。

プロジェクトの進捗管理やチームアップ、各種マネジメントも業務に含まれる。

ERPコンサルタント ERP(Enterprise Resource Planning)とは、物資・人材・資金・情報といった経営資源を有効活用、経営の効率化を図る手法を指す。

具体的な業務内容は、ITを活用した顧客管理、財務会計管理、営業支援、マーケティング管理などに関連するIT戦略の立案・実行支援を担当する。

SCMコンサルタント SCM(Supply Chain Management)とは、製造業などにおいて原料調達、製造、物流、販売、アフターサービスに至るまでの一連のプロセスをサプライチェーンで連携させる手法のこと。

具体的な業務内容は、SCM戦略の立案、サプライチェーンの改善、新システムの導入支援などを担当する。

CRMコンサルタント CRM(Customer Relationship Management)とは、販売者と顧客の関係を最適化するためのマネジメント手法を指す。

業務内容は、企業が抱えるCRM課題のITによる改善。近年のCRM戦略はクラウドやスマホを活用するケースが主流で、クラウドコンピューティングやスマホアプリの導入に関する専門知識・実務経験が必要。

セキュリティコンサルタント クライアント企業が抱えるサイバーセキュリティのリスクを分析し、具体的なセキュリティ対策を提案する。

業務領域は、ハード・ソフト両面からのセキュリティ対策以外にも、社員のITリテラシーの強化対策といった人的セキュリティ対策も含まれる。リスクマネジメント全般に関する専門知識や実務経験が必要。

デジタルコンサルタント クライアント企業におけるDX(Digital Transformation)の推進・実行支援を行う。

DXとは業務の単なるIT化にとどまらず、IT技術によってビジネススタイルの変革から従業員の行動変容までを包含する概念。コロナ禍により、DX推進の流れが加速の一途を辿っていることから、需要も増加すると予想される。

激務と言われるITコンサルタントの業務内容

激務と言われるITコンサルタントの業務内容
IT系業種の中でもとくに「激務」と言われることも多いITコンサルですが、実際の業務内容を確認していきましょう。ITコンサルの業務内容は主に次の3ステップに分解できます。

ステップ1. クライアントが抱える課題のヒアリング

クライアント企業から現状をヒアリングし、経営課題を分析します。

分析の過程では、必要な情報を過不足なく聞き出すためのコミュニケーション能力や、情報を整理するための論理思考、経営課題に影響を与えていると考えられる要因を導き出すための仮説思考などが求められます。

ステップ2. 解決策の提案

分析結果を踏まえて、既存システムの改良や新システムの導入など、クライアントの課題を解決するための提案を行います。

提案の過程では、計画を具体的なIT施策に落とし込むための専門知識や、提案内容をクライアントにわかりやすく説明するためのプレゼンテーション能力などが求められます。

クライアントが必ずしもITに精通しているとは限らないため、ITに詳しくない人に対しても専門的な内容を噛み砕いて説明できる能力も必要とされるでしょう。

ステップ3. 実行支援

提案したIT施策を実際に導入する段階です。既存システムの改良や新システムの開発といった実務は、SE(システムエンジニア)が担当します。ITコンサルは、施策を実行するためのIT組織作りやプロジェクトの進捗管理、クオリティの管理、現場監督といったマネジメント業務が中心です。

案件によっては、システム導入後の現場定着化支援導入効果の検証といったアフターフォローも請け負う場合もあります。

ITコンサルタントが激務と言われる理由

ITコンサルタントが激務と言われる理由は、主に7つあります。

  • 高い問題解決能力が求められる
  • 残業や休日出勤が多い
  • プロジェクトの同時進行が求められる
  • 膨大な知識量が求められる
  • 顧客との信頼関係構築に時間がかかる
  • SEからの転身でギャップに苦しむ
  • プロジェクトチームの人員不足

ひとつずつ見ていきましょう。

高い問題解決能力が求められる

ITコンサルの最終目標は、クライアントが抱える課題の解決策を提案することです。

課題はクライアントによって異なるため、仮説と検証を素早いサイクルで回し続けるエネルギーや実行力、事実を把握するリサーチやヒヤリング能力、高い単価に見合った成果をあげられる高度な問題解決能力が求められます。

残業や休日出勤が多い

ITコンサルは、クライアントの要望に応じて、常に質の高いアウトプットをしなければなりません。さらに、それに伴う資料作りも必要です。複数案件を抱えている場合など、納期によっては残業や休日出勤があります。

また、新規導入予定のシステムに関するトラブルなど、緊急かつ臨機応変な対応を求められることも多く、休息が取れないことが原因で体力面でも悲鳴をあげてしまうことがあるでしょう。

プロジェクトの同時進行が求められる

ITコンサルの業務では複数プロジェクトを同時に担当することも多く、複数の関係者と連携しながらマルチタスクをこなす器用さが求められます。

そのため、一人で黙々と技術開発をするといったシングルタスクが得意な人や元々内向的な性格の人にとっては、ITコンサルの業務が苦痛に感じられる場合もあるでしょう。

膨大な知識量が求められる

ITコンサルは、クライアント企業や担当案件に合わせて、常に新しい知識をインプットし続けることが求められます。

ソリューションとしてのIT技術に関する専門知識の習得・アップデートはもちろんのこと、クライアントの企業情報や業界動向など、さまざまな関連知識が必要となるため、常に気を抜けないことに、プレッシャーを感じる人もいます。

顧客との信頼関係構築に時間がかかる

ITコンサルはクライアントとの信頼関係構築にも時間をかける必要があります。信頼関係を構築するためには、コミュニケーション能力が必須となるため、人付き合いが苦手な人にとっては苦痛に感じられることもあるでしょう。

とはいえ、プロジェクトを円滑に進めるためにも、クライアントと何度も対話を重ね前提や問題点を共有し、協力体制を作っていくことこそがITコンサルとしての腕の見せ所です。

より強固な協力体制を構築するためには、クライアントの疑問に対して自信を持って答えられるだけの知識量をつけることも必要となるでしょう。

SEからの転身でギャップに苦しむ

一般的に、SEからITコンサルにキャリアアップケースが多いですが、コンサルの仕事内容が自身の適性に合っていないために、SE時代とのギャップに苦しむ場合も多いです。

SEとITコンサルの業務上の大きな違いは、「仮説思考」の使用頻度にあります。仮説思考とは、問題解決に向けて仮の予測(仮説)を立て、その仮説が正しいか否かを検証するために、必要な情報収集をしながら仮説の精度を上げていくアプローチです。

SEは一般的に、クライアントが要望するシステムの設計・開発を行う技術面を担うため、業務の過程で、必ずしも仮説思考が必要となる訳ではありません。

ところが、ITコンサルに転身すると、SEの業務の上流工程(課題解決のための提案)を担うようになります。上流工程では、仮説を立てて、それを検証しながらクライアントにとって最適のソリューションを導き出すことが常に求められます。

仮説思考に慣れていない場合、問題解決に直接関係のない調査に時間をかけすぎてしまったり、逆に、仮説を検証するために必要十分な調査計画を立てられずに、手戻りや再検証が発生してしまう可能性があります。

その結果、解決策を導き出すのに時間がかかり、労働時間が伸びてしまうことも多々あります。

プロジェクトチームの人員不足

DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に伴い、IT技術者全体の需要が高まっており、IT現場の人手不足が深刻化しているという現状にあります。その結果、ITコンサルタントが受けもつ仕事量も相対的に増え、激務につながっているという背景です。

たとえば、10人のメンバーが必要なプロジェクトを2〜3人で回さなければならないといった場合もあります。

そのような人手不足の現場では、ITコンサルも技術開発の一部を担当せざるを得ません。人手不足の現場に配属された場合、激務になることは避けられないでしょう。

ITコンサルタントの労働環境改善に向けた企業動向


ITコンサルが激務と言われる状況を鑑み、大手コンサルティングファームを中心に、労働環境改善に向けた取り組みが始まっています。

  • アクセンチュア株式会社
  • デロイト・トウシュ・トーマツ社
  • PwCコンサルティング合同会社

ここでは、上記の外資系大手3社における「働き方改革」への取り組み事例を紹介します。

アクセンチュア株式会社

長時間労働を是正するための対策として、「Project PRIDE」という働き方改革を開始月あたりの労働時間は100時間以内を基準値とする旨や、45時間を超える時間外労働が半年以上続くことがないように配慮するといった行動指針が示されています。

その他、子どもの学校休業日や家族記念日における年休取得奨励アナウンスなど、社員の年休取得率を向上させる具体的な取り組みも進められています。

なお、アクセンチュア株式会社は「Project PRIDE」によって得られた実績を発表しています。

  • 残業減少:1人あたり1日平均1時間に
  • 離職率低下:実施前の約半分に
  • 有休取得率上昇:70% → 85%へ
  • 女性比率向上:22.1% → 35.6%へ(新卒+第2新卒、女性採用比率:45%)※2019年8月時点

参考:会社概要 アクセンチュア独自の働き方改革「Project PRIDE」

デロイト・トウシュ・トーマツ社

コンサルの仕事と出産・育児、介護、傷病といったさまざまなライフイベントを両立できるような仕組みや制度が、社内に完備されています。

たとえば、育児や介護と仕事を両立する社員が勤務形態を柔軟に選択できる「フレキシブルワーキングプログラム(FWP/WP)」の導入、男性も含めた両立支援の一環として保育園の運営シッター利用料補助制度といった独自の取り組みです。

参考:デロイト トーマツ グループの働き方改革

PwCコンサルティング合同会社

2017年からリモートワークの運用を先駆けて開始しており、同社のグローバルネットワークの知見も生かしながら、リモートを前提とした柔軟な働き方の実現に向けた環境・制度・ITインフラの整備を進めています。

より具体的な施策は以下のとおりです。

  • コアなしフレックスタイム
  • 時短勤務・短日勤務の導入
  • 同性婚の場合にも取得できる結婚特別休
  • 夜間コミュニケーションの制限
  • 残業時間のモニタリング
  • 労務管理研修(管理職向け) など

参考:柔軟な働き方を実現する制度 | PwC Japanグループ

ITコンサルタントは激務と言われるがメリットも大きい


激務と言われるITコンサルですが、その激務に見合うだけのメリットが2つあります。

  • 年収が高い
  • 市場価値の高い人材になれる

年収が高い

ITコンサルは、IT業界の中で最も高給業種として知られています。『経済産業省 IT関連産業の給与等に関する実態調査結果 平成29年8月21日』によると、ITコンサルの平均年収は928.5万円となっており、年収が1,000万円以上のITコンサルも実際に多数存在します。

出典:経済産業省 IT関連産業の給与等に関する実態調査結果 平成29年8月21日

高年収ランキング
順位 職種 平均年収
1 ITコンサルタント 928.5万円
2 プロジェクトマネージャ 891.5万円
3 プロデューサー/ディレクター 792.9万円
4 IT教育関連の営業・マーケティング職 783.3万円
5 ITエンジニア(基盤設定担当・ITアーキテクト) 778.2万円

出典:『経済産業省 IT関連産業の給与等に関する実態調査結果 平成29年8月21日』P6

また、弊社Liberty Nationに登録しているフリーランスITコンサルの平均年収は、おおよそ2,000万円です。月単価ベースで100〜350万円となっています。

以上のことから、激務と呼ばれるITコンサルですが、それに見合うだけの報酬が得られると言って良いでしょう。

市場価値の高い人材になれる

ITコンサルタントの仕事では、ITシステム関連だけでなく企業経営などの業務に関与するため、業務の過程で幅広い知識やスキルが身につけることが可能です。それにより市場価値の高い人材になれます。

そのため、ITコンサルとしての実績を作っておけば、会社役員への抜擢や会社設立といった更なるキャリアアップのチャンスにも結びつきやすくなるでしょう。

ITコンサルタントへの転職を成功させるための5つのポイント


ここでは、ITコンサルに転職しようとしている人が知っておくべき5つのポイントを解説します。以下のポイントを押さえることで、激務の現場を極力避けられます。

  • 業務への適性・不適性を見極める
  • クチコミサイトで企業情報をチェックする
  • 経済産業省認定「健康優良認定法人」から転職先を選ぶ
  • 転職エージェントで優良企業を紹介してもらう
  • フリーランスコンサルタントという選択肢もある

業務への適性・不適性を見極める

ITコンサルの労働環境や求められる能力を考慮の上、まずは業務への適性または不適性を見極めることが重要です。ITコンサルに求められるスキルについては、すでに解説してきた通りです。

ご自身の適性・不適性を判断する際には、以下のチェック項目を参考にしてみてください。

【ITコンサルタントの労働環境】

  • 残業や休日出勤が多い
  • システムトラブルなど緊急対応が多い
  • クライアントの要望に応えるためのプレッシャーが大きい
  • 常に知識をアップデートし続ける必要がある

【求められる能力(SEと共通)】

  • ITスキル
  • コミュニケーション能力
  • 英語力
  • マネジメント能力
  • 論理的思考力

【ITコンサルタントとして身につけるべき能力】

  • クライアントが抱える課題を汲み取る理解力
  • 課題を解決するための仮説思考
  • 解決策を示すためのプレゼン力
  • 新しい知識や技術を学び続ける姿勢
  • プレッシャーに打ち勝つ精神力

また、ITコンサルタントへ転職する際の志望動機の書き方を知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。

【新卒・転職】ITコンサルタントの志望動機を書くコツ!面接の自己PRのポイントを解説

クチコミサイトで企業情報をチェックする

『OpenWork』などのクチコミサイトで、転職を希望する企業で実際に働いている人の情報を収集しておくことで、実際の労働環境がイメージしやすくなります。

ITコンサル業界は、企業によって労働環境や対応範囲などに差があることも多いのが現状です。そのため、求人票だけではなくリアルなクチコミ情報にも目を通しておくことで、理想と現実のズレを減らせるでしょう。

経済産業省認定「健康優良認定法人」から転職先を選ぶ

経済産業省が毎年認定する「健康経営優良法人」の中から転職先を検討することで、激務の職場を極力回避できます。

公式ウェブサイト:「健康経営優良法人2021」認定法人

ただし、健康経営優良法人のリストには、外資系企業は含まれていません。

たとえば、コンサル業界のBIG4と呼ばれるファーム(デロイト・トーマツ、PwC、EY、KPMGの4社)はいずれも外資系であり、健康経営優良法人のリストには記載がありません。

こういったファームへの転職を目指す場合には、以下の方法を検討してみてください。

転職エージェントで優良企業を紹介してもらう

転職エージェントとは、転職者の希望に合わせて求人を斡旋してくれるサービスです。転職エージェントを介すると、個人で転職活動をするよりもブラック企業に当たるリスクを減らすことが可能になります。

大手転職エージェントの例としては、「レバテックキャリア」や「ビスリーチ」などが挙げられます。こういったエージェントでは、優良外資系企業を紹介してもらうことも可能です。

フリーランスコンサルタントという選択肢もある

ITコンサルとして経験や人脈を増やした後、フリーランスとして独立するという選択肢もあります。フリーランスになれば働き方を選べるようになるので、激務から解放される可能性が高いでしょう。

弊社Liberty Nation(リバティネイション)は、フリーランスのコンサルタントの方に案件をご紹介しているエージェントです。長期案件はもちろん、副業に適した短期案件も幅広く取り扱っています。

会社員SEをしながら、まずは副業からITコンサルに挑戦してみたいといった方のご相談も承ります。以下よりぜひご登録ください。

まとめ


ITコンサルは、IT関連分野全般に関わるコンサルテーションをクライアント企業に提供する専門家です。ITコンサルの業務では高度な問題解決能力が求められたり、残業や休日出勤も多いことから、激務と言われることがあります。

とはいえ、高い能力が求められる業種であるからこそ、ITコンサルの経験を積むことで、市場価値の高い人材になれるのも事実です。

また、ITコンサルはIT系業種において最も年収が高い業種でもあるので、長年SEとして実務経験を積んだ方のキャリアアップの選択肢として有望です。さらに、フリーランスのITコンサルとして独立すれば、激務から解放される可能性も高いでしょう。

弊社Liberty Nation(リバティネイション)では、より柔軟な働き方が可能な「フリーランスのITコンサルタント案件」を多数取り扱っています。

ITコンサルへの転職を検討されている方や実際にどのような案件があるのかを知りたい方は、下記のバナーよりご登録、お問い合わせくださいませ。

Liberty Nationは、あなたのフリーランスITコンサルとしての第一歩を、全力でサポートします。

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