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2022.3.2

SAP ERPとは? 他のERPとの違いや特徴、メリットデメリットを紹介

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ERPの導入を検討されている方で、SAP ERPをお聞きになったことがある方も多いのではないでしょうか。SAP ERPとはSAP社が提供しているERPシステムのことです。

今回はSAP ERPの特徴や他のERPシステムとの違い、導入したときのメリット・デメリットなどをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

SAP ERPとは

SAP ERPとは、ドイツのSAP社が提供しているERPシステムのパッケージの1つです。

「販売」「生産」「在庫」「会計」の領域をすべてカバーしており、これらの領域を単一のシステムで管理することができます。さまざまな業種・企業にマッチしており、世界中の多くの企業で導入されています。

ERPシステムの中でもSAP ERPは柔軟性やリアルタイムで連携できることに大きな特徴があります。下記で具体的にSAP ERPの特徴をご紹介します。

幅広いサポート範囲

SAP ERPの大きな特徴の1つが幅広いサポート範囲です。ERPパッケージの中には、会計業務や販売管理に特化しているものもあります。
しかし、SAP ERPは会計業務・販売管理はもちろん、人事給与・プロジェクト管理・管理会計・予算管理など、幅広い領域の業務をカバーしております。
SAP ERPは世界で利用されているシステムです。そのため、多言語・多通貨はもちろん、世界の商慣習・法令まで対応しています。
とくに海外拠点を多くもつ企業であっても、データを1つのシステムで管理できます。このようにさまざまな業務領域、国も含めて幅広く対応しております。

リアルタイム連携

販売のシステムと生産のシステムを分けて管理する場合、各システムのデータを連携させる必要があり、それらのデータを連携させるためにはバッチ処理が必要でした。

しかし、SAP ERPは「販売」「生産」「在庫」「会計」などの幅広い領域を1つのシステムで管理できます。

例えば、商品が購入されたらすぐにシステム全体に情報が連携され、在庫状況の把握や追加生産などの対応が可能です。リアルタイムでの連携により、常にヒト・モノ・カネの最新情報をチェックできます

世界シェア1位

SAP ERPは上述でもご紹介したとおり、30種類以上の言語サポートがあり、全世界25,000社以上、国内でも1,300社以上が導入されています。
出典:SAPとERPの違いとは?|ベンチャータイムス

2020年のERPソフトウェアベンダーランキングにて世界市場で1位のシェアを誇っています。このように世界的にもシェア・認知度が高いシステムのため、信頼して利用することが可能です。
出典:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2020-2025

SAPも含めた、EPRのシェアの最新情報については以下でも解説しています。

▼関連記事
【2022年最新版】ERP製品の国内・海外シェアは?市場規模や市場予測も解説

SAP ERPと他のERPの違い

SAP ERPの特徴に関してご紹介しましたが、あらためて他のERPシステムとの違いをご紹介します。

ご紹介してきたようにSAP ERPは「販売」「生産」「在庫」「会計」「プロジェクト」などの幅広い領域をカバーすることで自社内のデータを部門横断的に一元管理することができます。

一方、SAP ERP以外のシステムの多くは「会計」や「販売」などに特化している場合が多いです。

そのため、SAP ERP以外のシステムは1つの領域の最適化には向いていますが、他のシステムと連携する際には矛盾や不整合が起きる可能性があります。

しかし、SAP ERPではリアルタイムのデータ取得・連携も可能であり、変動が激しい現在のビジネス業界には効果的です。

ERPとは何か、基礎的な情報は以下でも解説しています。

▼関連記事
ERPって何?導入のメリットや種類、基幹システムとの違いをわかりやすく解説

SAP ERPのモジュール

SAP ERPは、業務分野別にまとめられた機能群で構成されており、その機能群のことをモジュールと呼びます

SAP ERPを利用する際には自社で必要なモジュールを選び、組み合わせることで利用します。例えば会計業務では、財務会計(FI)と管理会計(CO)のモジュールを設定します。

以下では、SAP ERPでの代表的なモジュールをご紹介します。

財務会計(FI)

財務会計(FI)モジュールは、Financial Accounting=財務会計に必要な機能が備わっているモジュールです。

企業が日々行う取引の記録や販売管理、調達・在庫管理、生産管理などのモジュールとリアルタイムで連携することで、PL・BS・CSSなどの財務諸表などの対外向けの社外レポートの作成などが可能です。

またFIモジュールは、会社全体の取引を記録する総勘定元帳(FI-GL)や債権管理(FI-AR)、固定資産管理(FI-AA)などのサブモジュールに分かれております。

販売管理(SD)

販売管理(Sales & Distribution)モジュールは、見積もりや出荷状況、販売状況などの販売管理を行うためのモジュールです。

どの顧客から商品が注文されていて、商品の出荷がされたのか、費用が入金されたのかなどの一連の流れで管理することができます。

またFIモジュールと連携することで売上計上も可能です。外国発送や注文キャンセルなどの特殊なプロセスにも対応しており、企業の状況やビジネスに合わせて柔軟に対応可能です。

在庫購買管理(MM)

在庫購買管理(Material Management)は、購買管理、品目計画・管理、入庫、在庫管理、請求書照合などの機能のモジュールです。

顧客からどれくらいの発注があるのか、在庫がどれくらいあるのかなどを把握する事ができます。

在庫状況等を自動で管理することで余剰在庫を減らしたり、逆に在庫が少ないときは自動で発注することなどにより、在庫の適正化や在庫管理の業務効率化が可能です。

生産計画・管理(PP)

生産計画・管理(Production & Planning)モジュールは、生産計画→製造指図→製造実績までのプロセスを管理するための機能があるモジュールです。

発注情報をベースに、どれくらい商品を生産するのか、そのためにはどれだけのリソース(人材、機械、生産資源・治工具、期間)が必要で、いつまでに発注する必要があるのかなどの概要計画を立て、担当者に知らせてくれます。

また、製造にかかった時間や生産量などの製造実績も管理します。

外注先と調整しながら発注管理を行う担当者にとって便利な機能です。

プラント保全(PM)

プラント保全(Plant Management)モジュールは、工場やプラントなどの設備資源のメンテナンス計画を管理する機能があります。

設備や技術システムの保全とは、設備台帳の管理から、計画(保全計画管理、予算管理)、実施(点検、故障対応、定期メンテナンス)、評価・改善(実績評価、予算や設備の見直し)の3段階に応じた機能があります。

このため、特に大規模プラントを持つ水道・電気などのインフラ業界で利用されます。

人事管理(HR)

人事管理(HR)モジュールは、採用から人材育成・組織管理などの人材管理や組織管理、給与管理など、企業においてのすべてのHR業務に関する機能があります。

人事管理に関するさまざまな業務を自動化することで、HR関連の業務の効率化につながります。

プロジェクト管理(PS)

プロジェクト管理(Project System)モジュールは、ビルやプラントの建設や特殊機械の製造設置など、大規模であり長期の工事に活用されるモジュールです。

プロジェクトにかかる予算策定から工程管理、売上管理などのプロジェクト全体のプロセス管理に活用されます。

設備予算管理(IM)

設備予算管理(IM)は、設備投資や研究開発にかかる費用の予実管理や設備の実績管理に活用できる機能です。

複数の企業をまたいだ再開発プロジェクトなどに用いられます。

管理会計(CO)

管理会計(Controlling)モジュールは、部門やプロジェクトなどの原価管理などを行うための機能があります。

購買や生産、販売などの社内向けに間接費や直接費などを計算し、収益性分析や原価計算をすることができます。

不動産会計(RE)

不動産会計(Real Estate)は、不動産を管理するうえで必要な、契約・保守・会計などの機能を取り揃えています。

不動産の種類や運営形態にあわせて柔軟に活用できます。

クロスアプリケーション(CA)

クロスアプリケーション(Cross Application)モジュールは、全アプリケーションを横断して連携するための標準機能が備わっています。

文書管理機能やSAPと他の機能を連携させるための標準機能です。

SAP ERP導入のメリット

SAP ERPを導入すべきメリットをご紹介します。

代表的なメリットには、コスト削減、作業の可視化、幅広い企業への対応という3つがあります。

メリット1.コスト削減につながる

1つ目は、コスト削減につながるということです。

従来は、生産管理・販売など部門毎にシステムを導入し、そのためにシステム担当者をたてていました。

また、データを把握しようにも各部門のデータ連携に大きく手間がかかりました。

しかしSAP ERPでは、1つのシステムで全部門を管理でき、リアルタイムでデータ連携も可能なため、従来かかっていたコストや時間を大幅に削減することができます。

メリット2.作業の可視化につながる

2つ目は、作業の可視化につながるということです。

SAP ERPでは、リアルタイムで常に人・物・金の動きを把握できるため、経営状況や作業の進行状況を確認することができます。

また、入力者のユーザーIDが登録されたり、作業履歴も可視化されるため、ボトルネックの把握や不正防止にもつながります。

メリット3.あらゆる企業に対応できる

3つ目は、どのような企業にも対応しているということです。

SAPは、社員が2人から20万人の企業など、あらゆる企業のニーズに最も適した形のシステムをカスタマイズして提供することができます。

また、サポートの専任チームがいるため24時間365日体制でサポートをしてくれ、トラブルが起きてもいつでもサポートを受けられます。

SAP ERP導入は費用が高額な点がデメリット

一方SAP ERP導入には、デメリットもあります。それは導入費用が高いということです。規模にもよりますが初期費用として1,000万円程度かかるといわれています。

SAP ERPは、ただインストールするだけでは利用できません。自社の目的に合わせて、必要なモジュールを選びシステムを構築する必要があり、専門のシステムエンジニアを雇う必要もあります。

このようにライセンス費用に加え、自社用にカスタマイズするためのエンジニアの人件費やシステムメンテナンス費などが掛かります。ここから具体的にどのような費用がかかるのかを続けてご紹介します。

SAP ERPの導入費用の内訳

SAP ERPの導入には以下の費用がかかります。

  • ハードウェア
  • ソフトウェアライセンス
  • 導入ベンダー(要件定義〜リリース対応の担当SAPベンダー)
  • アドオン開発

費用は数千万から数百億の費用がかかる場合と幅広いですが、大きく影響するのはハードウェアがオンプレミスかクラウドなのか、スコープ、アドオン開発の量に影響します。

それぞれの費用内訳の詳細に関してご紹介します。

ハードウェア

ハードウェア費用は、システムを稼働するためのサーバーの費用です。ハードウェアは、自社でサーバーを購入するオンプレミスの場合と、AWSやSAPなどのサーバーを借りるクラウドかがあります。

オンプレミスは自社に合わせたセッティングができる一方、購入とセッティングに手間がかかります。

オンプレミスの費用内訳は以下となります。

  • サーバ購入費用
  • サーバーセッティング費用
  • サーバーライセンス費用 など

一方クラウドは、セッティングや機能拡張など容易ではありますが、融通がききづらい点があります。ただし、クラウドの場合はサーバーライセンス費用しかかかりません。

そのため、クラウドを導入したほうがハードウェアにかかる金額を抑えることができます。

ソフトウェア・ライセンス

ソフトウェアライセンスは、SAPを使用するためのライセンス費用です。

ソフトウェア・ライセンスは、SAP ERPでどのような機能を利用したいのかや利用したい拠点により大きく異なります。

例えば、SAP会計だけなのかそれとも他の機能(ETL、RPA、BIなど)も利用したいのか、利用拠点が国内だけなのか、それとも海外拠点なども含めて複数拠点で利用したいのかなどに大きく依存します。

アドオン開発

アドオン開発とは、自社向けにカスタマイズすることです。

SAPの標準設定をそのまま利用するのであれば、費用はそれほどかかりません。しかし、自社にあわせて要件定義を変更する場合や業務範囲が標準設定と大きく異なる場合などは、それに合わせて費用が大きく異なります。

SAP ERP(SAP ECC 6.0 ​​)はサポートが2027年まで

SAP社はSAP ERP(SAP ECC 6.0)を2027年までにサポートを取りやめると発表しています。

これを2027年問題と言い、SAP ERPを導入している企業は、今後次の3つの選択肢から対応方法を選ぶ必要があります。最後に今後の移行に関してご紹介します。

SAP ECC 6.0の次世代バージョンであるS/4HANAに移行

まず1つ目の選択肢は、次世代バージョンとも呼ばれているS/4 HANAに移行することです。

すでに多くの企業が移行の検討や移行を開始しており、今後も主流の方向となるでしょう。

しかし、移行するときには考慮しなければならないポイントもあります。

移行する際に考慮すべきポイント1.Unicode化

SAP S/4HANAコンバージョンの前提要件がUnicode化のため、SAP ECC 6.0をNon Unicodeの環境で運用している場合は、Unicode化による影響調査やテストなどを行う必要があります

またUnicode化するためには、大きな手間やコストも掛かる可能性があります。

移行する際に考慮すべきポイント2.柔軟な基幹システムの基盤整備

この機会をチャンスと捉えて、柔軟さと拡張性のある基幹システムの形成の検討も行うことをおすすめします。

今後どのような仕様変更があるか見えない中では、クラウド環境への移行やWeb対応などシステムの整備も検討してみましょう。

SAP ERPを継続利用

2つ目の選択肢は、サポートを受けずに現状のSAP ECC 6.0を利用し続けることです。上述したように、現状の環境次第では移行するにもある程度の手間と費用がかかる可能性があります。

サポートが切れても現状のシステムを継続利用するのも選択肢の1つになるでしょう。

また、2027年にサポートが終了となっていますが、延長保守料を支払うことにより2030年まではサポートを受けることができます。

そのため、保守料金を支払い2030年まで使用を続け、その後他の選択をするという手もあります。

他社ERPへの乗り換え

3つ目の選択肢は、Oracle・Microsoft・NTTなどの他社ERPへの乗り換えです。

現状利用している領域や課題などを整理したうえで、より適したシステムを選択できる可能性があります。

ただし、新規ERPシステムを再構築する必要があるため、再構築するための費用や期間が再度掛かる可能性がある点に注意が必要です。

まとめ

SAP ERPは世界シェアNo1のERPシステムであり、生産・会計など幅広いカテゴリーをカバーしていたり、リアルタイムにデータが連携できることが大きな特徴です。

さまざまな機能に答えたモジュールがあるため、自社に合わせて適したモジュールを選ぶことでカスタマイズができます。代表的なモジュールには、会計管理・生産管理・販売管理などがあります。

2027年問題とも言われているように2027年にサポートが終了してしまうため、今後サポート終了による移行作業に、SAPコンサルタントやERPコンサルタントの需要が高まっていくと考えられます。

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