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2022.2.23

【2022年最新版】ERP製品の国内・海外シェアは?市場規模や市場予測も解説

コンサル募集

企業の情報戦略やDX施策の一つとして、重要な役割を果たしている「ERP(基幹システム)」。この記事では、ERP製品の国内シェア、海外シェア、市場予測について解説します。

ERP製品の選定時に考慮すべきポイントもまとめていますので、ERP製品の導入を検討している経理者の方やコンサル業界の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ERPとは

ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業の資源となる要素(人材・資本・データなど)を適切に分配し有効活用する計画・考え方を指します。

主に「基幹システム」を指すことが多く、ERP製品の導入は企業の情報戦略に欠かせないものとなっています。会計、人事、生産管理といった各種システムの集合体を「ERPパッケージ」と呼びます。

一般的なERPパッケージは、次のようなシステムから構成されています。

  • 会計管理システム
  • 販売管理システム
  • 在庫購買管理システム
  • 生産管理システム
  • 人事給与管理システム

ただし、パッケージによって強みが異なるため、導入時には複数のパッケージを比較検討することが重要です。

ERPの概要については、下記の記事で詳しく解説しています。

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基幹システムとERPの違いは何?ERPに切り替えるメリットや導入形態についても紹介!

ERPって何?導入のメリットや種類、基幹システムとの違いをわかりやすく解説

ERPの市場規模

ERPパッケージの市場規模は年々拡大しており、今後も拡大の一途を辿ることが予測されます。

たとえばITRが2021年4月に発表した資料によると、2019年度のERP市場売上額は1,128億円(前年度比12.4%)となりました。

参照:ITR Market View:ERP市場2021

また、Apps Run The Worldによると、世界のERP市場規模は、2019年に940億ドル、2024年には971億ドルに達すると予測されています。

参照:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2019-2024|Apps Run The World

以下にて、近年のERP市場のトレンドを次の2つの観点から解説します。

  • DXとの相乗効果
  • オンプレミス型からクラウド型への移行

DXとの相乗効果

ERPは企業の経営基盤となるシステムであると同時に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の一手段としても位置付けられています。

DXとは、企業がデジタル技術を用いて、ビジネスモデルを変革する取り組みを指します。

経済産業省が警鐘を促す「2025年の崖」を目前にDXが加速しており、多くの企業にとってERPの導入は避けては通れないものとなりつつあります。

DXについては、下記の記事でより詳しく解説しています。

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DXとは?定義や必要性、導入するメリットを成功事例とともに解説!

オンプレミス型からクラウド型への移行

ERPの設置形態として、従来の「オンプレミス型」から「クラウド型」への移行が進んでいます。

オンプレミス型とは、自社内に構築したサーバー上でERPシステムを利用する方式です。

一方、クラウド型は、インターネットのクラウド上でERPシステムを利用できるため、社外からのアクセスも可能です。

たとえば、クラウド型のERPシステムの一つであるMicrosoft Dynamics 365は、クラウド上でWord、Excel、PowerPointなどのドキュメントを管理・編集することができます。

こういったクラウド型ERPシステムの導入時には、社内サーバーを構築する初期費用はかかりませんが、システムにアクセスするためのライセンスを購入・更新するための固定費用がかかります。

新型コロナウイルス感染症の長期化により、テレワークやリモートワークとの相性の良いクラウド型の需要は今後も高まっていくことが予想されます。

オンプレミス型ERPとクラウド型ERPの特徴については、この記事の後半で詳しく解説します。

ERP製品のシェア

ここでは、世界と日本国内におけるERP製品のシェアについて解説します。

世界シェア

Apps Run The Worldの報告(2021年12月)によると、世界で導入されているERPベンダーのシェアは次の通りです。

ランキング ベンダー
1位 SAP(ドイツ)
2位 Oracle(アメリカ)
3位 Intuit(アメリカ)

参照:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2019-2024

以下、各社の主力製品の特徴についてご紹介します。

SAP(ドイツ)

出典:SAP S/4HANA Cloud | インテリジェント ERP システム

■ 製品名:S/4 HANA Cloud

AI(人工知能)と機械学習が組み込まれたクラウド型ERPシステム。ERPパッケージの世界トップシェアを誇ります。機械学習が標準搭載されているため、ビッグデータの活用にも適しています。

なお、日本国内では、SAP社の「Business All-in-one」が高いシェアを誇ります。Business All-in-oneの特徴に関しては、後述します。

【料金体系】

サブスクリプション制の料金体系です。

・評価版(14日間の無料体験版)

・サブスクリプションによるカスタム価格(15日目以降)

価格はFUE(フルユーザー相当ライセンス)の購入数に応じて変動します。FUEの最小購入数は50からです。

参考:SAP S/4 HANA Cloud

Oracle(アメリカ)

出典:Enterprise Resource Planning(ERP)| Oracle 日本

■ 製品名:NetSuite

世界最大規模のクラウド型ERP。世界200ヶ国の20,000社を超える企業に導入されています。

NetSuiteではERPシステムのほか、Eコマース、グローバル経営管理、CRM(顧客関係管理)などを一元管理することが可能です。

【料金体系】

サブスクリプション制の料金体系です。ライセンスの種類は下記の通りです。

・基本ライセンス(導入組織ごとに必要)

・ユーザーライセンス(ユーザーごとに必要)

・サポートライセンス(任意)

NetSuite SuiteSuccessを利用する場合、月額20万円台から導入可能となっています(10人分のユーザーライセンス付き)。

参照:NetSuite SuiteSucccess

■ 製品名:Fusion Cloud ERP

会計、購買、経費、分析、コア人事を含む全業域のデータモデルが統一されているため、統合力が高いのが強みです。

システム内で使用するデータの構造が統一されている場合、会計、人事といった複数の異なるモジュール間での整合性が保たれるため、さまざまな機能を段階的に追加しやすいというメリットがあります。

【料金体系】

一般非公開

参照:Fusion Cloud ERP

Intuit(アメリカ)

出典:QuickBooks

■ 製品名:QuickBooks

主にアメリカの中小企業において高いシェアを誇るクラウド型ERP。

請求書発行や経費精算の機能をクラウド上で利用することができるため、出張先などからスマートフォンでアクセスすることも可能です。

【料金体系】

サブスクリプション制の料金体系です。ライセンスの種類は下記の通りです。

・ゴールド(178USD/月〜)

・プラチナ(206USD/月〜)

・ダイアモンド(355USD/月〜)

ライセンスによってアクセスできる機能の範囲が異なります。

参照:QuickBooks

国内シェア

株式会社ノークリサーチの調査(2021年10月)によると、日本国内で導入されているERPベンダーのシェアは次の通りです。

ランキング ベンダー シェア率
1位 OSK(大塚商会) 27.1%
2位 富士通 24.3%
3位 SAPジャパン 20.4%

参照:2021年 社数シェアとユーザ評価が示す中堅・中小ERPが進むべき方向性

以下、各社の主力製品の特徴についてご紹介します。

OSK(大塚商会)

出典:SMILE

■ 製品名:SMILE V

1979年の登場以来、40余年の歴史を持つ基幹業務システムSMILEの最新版であり、国内トップシェアを誇るERPです。

販売、会計、人事給与を中心に、ワークフロー、ドキュメント管理といった情報系モジュールが充実しており、オンプレミスでの使用とクラウド版の両方に対応しています。

【料金体系】

一般非公開

参照:SMILE

富士通

出典:GLOVIA

■ 製品名:GLOVIA

業種・業務形態・組織規模に合わせた完成度の高いパッケージが強みのERP。

導入目的に合わせて「GLOVIA SUMMIT(情報統合に特化)」「GLOVIA Smart(会計・人事・総務に特化)」「GLOVIA iZ(社内コミュニケーションに特化)」「GLOVIA きらら(販売管理に特化)」の

4パッケージが用意されています。

【料金体系】

一般非公開

参考:GLOVIA

SAPジャパン

出典:SAP Business One | 中小企業向け ERP ソフトウェア

■ 製品名:SAP Business All-in-one

リーズナブルなコストと短期導入に定評のあるERP。All-in-oneという名称からもわかるように、「事業のあらゆる側面を一つのシステムで兼ねたい」という中堅・中小企業に広く支持されています。

導入形態として「オンプレミス型」と「オンデマンド(クラウド)型」を選択することが可能です。

【料金体系】

一般非公開

参考:SAP Business All-in-one

ERP製品の種類

ERP製品は、設置形態の違いから次の3種類に大別されます。

  • オンプレミス型
  • クラウド型
  • ハイブリッド型

以下にて、それぞれの特徴について見ていきましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型とは、自社内に構築したサーバー上でERPシステムを利用する方式です。

オンプレミス型のERPは内部仕様のカスタマイズがしやすい反面、構築・保守・運用のためのコストが比較的かかるという特徴があります。

メリット デメリット
・サーバー上に1からERP環境を構築するため、カスタマイズしやすい
・社内にサーバーを設置するため、基本的に社内ネットワークに接続できる環境下であれば、オフラインでも使用可能
・サーバー構築・メンテナンスのコストがかかる
・サーバーメンテナンスに関わる人材コストが必要
・災害時などに復旧に時間がかかったり、利用できなくなったりする可能性がある

クラウド型

クラウド型とは、インターネットのクラウド上にベンダーが構築したERPシステムへアクセスし、ERPを利用する方式です。

クラウド型のERPは初期コストを抑えやすい反面、カスタマイズの自由度が下がるという特徴があります。

メリット デメリット
・自社内にサーバーを所有する必要がなく、メンテナンスの手間が省ける
・サーバーを用意する必要がないため、すぐに導入しやすい
・自社にサーバー環境を構築する必要がない分、初期コストを低く抑えられる
・インターネット環境があれば、どこからでもシステムを利用できる
・すでにある程度形ができている状態から構築を始めるため、カスタマイズの自由度は下がる
・セキュリティー面に不安が残る

ハイブリッド型

ハイブリッド型とは、クラウド型とオンプレミス型のメリットを生かし、デメリットを減らした方式です。

クラウド型ではオンライン上に機密情報が保存されるため、情報セキュリティの観点からリスクがあります。

そこで、機密情報に関しては社内サーバー上に保管するオンプレミス型を採用し、機密性が重視されないデータはクラウドを利用するといった、ハイブリッドな運用方法をとるケースがあります。

ERP製品を選ぶ時のポイント

ここでは、企業環境に合ったERP製品を選ぶ際の5つのポイントを解説します。

  • 導入目的との合致
  • カスタマイズのしやすさ
  • 操作の容易さ
  • トラブル時のサポート体制
  • コストパフォーマンス

導入目的との合致

第一に、ERPを導入する目的を明確にしておくことが大切です。

たとえば、「生産性を向上したい」「ビッグデータを活用したい」「売り上げ予測の精度を高めたい」「経営判断を最適化するためのツールを整えたい」など、

企業の目的に応じて、最適なシステムは異なります。

カスタマイズのしやすさ

ERP製品の中には、デフォルト機能が充実している分、ほとんどカスタマイズができないものもあります。上述のように、クラウド型はカスタマイズに向いていないものが多いです。

特に、専門性・特殊性の高い業務が関係する場合、カスタマイズの自由度も考慮の上で製品を選ぶことがおすすめです。

とはいえ、多くのERP製品には、基本的な業務パッケージは網羅されています。そのため、会計や人事といった一般的な業務であれば、デフォルト機能だけで十分なケースも多いです。

操作の容易さ

現場の従業員がスムーズに使えるかどうか、ユーザーインターフェースに優れているかという点も選定時に考慮すべきポイントです。

どんなに機能性が優れたシステムであったとしても、実用性に欠けていては企業活動に支障を与えかねません。

操作性に優れたERP製品を選定すると同時に、導入前後の社内研修やマニュアル作成といった人的取り組みも、ERP施策の一環に位置付けられます。

トラブル時のサポート体制

ERPを選定するタイミングで、トラブル時のサポート体制が充実しているベンダーかどうかをしっかり見極めることが大切です。

ERP利用時に適切なサポートが得られないと、トラブル解決に時間がかかり、機会損失や顧客からの信用失墜につながるおそれもあります。

コストパフォーマンス

最後に、機能性とコストのバランスが適切かどうかという点も、ERP製品を選ぶ際に考慮すべきポイントです。

特に予算が限られている場合、自社がERPの導入によって達成したいことの優先順位をあらかじめ決めておき、予算内で優先順位の高い機能が備わっているERPを選ぶのが現実的です。

ERPが関係するコンサルティング領域

情報戦略やDX施策の一環としてERPを導入する企業が増加していることは、すでにお伝えしてきた通りですが、ERPのニーズが高まる中、ERPに関係するコンサルティングのニーズも増加傾向にあります。

ERPが関係しうる主なコンサルティング領域は、ERPコンサルタントと戦略コンサルタントの2つです。

ERPコンサルは、ERPの導入支援を専門に行うコンサルタントです。

クライアント企業が抱える経営課題の分析、課題解決のためのERPシステム導入計画の立案(ERPシステムの要件定義)、システム開発・導入から事後サポートまでが業務範囲となります。

ERPコンサルのほか、戦略コンサルタントも、クライアント企業の経営戦略の一環として、ERP導入を提案する場合があります。

ERPコンサルと戦略コンサルの業務内容については、下記の記事で解説しています。

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戦略コンサルタントとは?仕事内容・年収・必要なスキル・未経験からなる方法を徹底解説!

まとめ

DXやコロナ禍の影響とも相まって、ERP製品の市場規模は今後も拡大の一途を辿ることが予測されます。

弊社Liberty Nation(リバティネイション)は、フリーランスに特化したエージェントであり、ERPコンサルや戦略コンサルを含むフリーランスコンサルタント案件を多数取り扱っています。

フリーコンサルとしてのキャリア形成を検討されている方はもちろんのこと、副業コンサルの案件もご紹介が可能です。以下のバナーよりぜひお問い合わせ・ご登録ください。

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