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2021.12.27

RPAツールとは?RPA関連職種と代表的なRPAツールを紹介

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日本の抱える社会問題を解決し、業務の生産性を向上させるために、多くの企業が導入を検討しているRPA。注目度が高まる中、RPA業界への転職を検討している方もいるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、RPA業界全体の展望や、RPA関連の職種や業務内容、具体的なRPAツールなどを紹介していきます。

RPAツールとは


RPA(Robotic Process Automation)とは、人力で行っている単純かつ定型的業務を、PCプログラムを用いて自動化したロボットのことを指します。そのロボットを作るためのツールを総称して「RPAツール」と呼びます

RPAが業務を自動化するロボットの概念や技術を指す一方で、RPAツールはRPAの技術を実現する手段を指します。

RPAツールを使用すれば、従業員の勤怠管理や給与計算、受発注データ入力の自動化、メールの自動返信をするシステムを構築できることから、企業内でマンパワーに頼っていたルーチンワークを円滑に進めることが可能になります。

またRPAを使用すれば、システム間のシームレスな連携が可能です。そのためRPAは、2025年までにDX化を推進しないことで起こりうる年間12兆円の経済損失、いわゆる「2025年の崖」問題の解決策としても期待されています。

出典:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

RPAツールの分類


ここからは、RPAツールの分類方法について説明します。

なお、RPAツールと混同しやすいものとして、Excel VBA・AI・産業ロボットが挙げられますが、それぞれの違いについてはのちほど解説します。

システムの規模に着目した分類

まず、RPAをシステムの規模に着目して分類すると、以下の2つに大別されます。

  • デスクトップ型:PC1台ごとにRPAツールをインストールし、PC単位で処理が完結するシステム
  • サーバ型:サーバーにRPAツールをインストールすることで、複数PCにまたがった処理をしながら、中央での集中管理も可能なシステム

導入形態に着目した分類

次に、RPAの導入形態に着目した分類は、次の2つです。

  • オンプレミス型:自社内にシステムを導入したシステム
  • クラウド型:外部のサーバーリソースをオンデマンドで利用するシステム

対応する業務内容に着目した分類

RPAが対応する業務内容に着目すると、次の2つの分類ができます。

  • 汎用型:業務全般に広く対応するというメリットがある一方で、設定に時間がかかるというデメリットがある
  • 特化型:それぞれの業務ごとに特化したシステムを構築するため、コストがかかるというデメリットがあるが、細かな設定が不要というメリットがある

RPAツールとExcel VBA(マクロ)の違い


RPAがどんなものか初めて聞いた時に、真っ先にExcel VBA(マクロ)を思い浮かべた方もいるかもしれません。両者の違いを端的にいうと、カバー可能な業務範囲が異なる点です。

RPAツールは、Excel VBAやAccess VBAを使った場合より、自動化できる業務範囲が広くなっています。マクロでの処理は、基本的には自PCの特定ソフト内に留まります。一方でRPAツールを使えば、複数のアプリケーションやPC間を跨いだ処理が可能となります。

また、Excel VBAはデータの集計処理は得意なものの、RPAツールと異なり、PDF化やメール送信といった処理は不可能になっています。

RPAとAIとの違い


RPAとAIの違いは自律性です。

AIは自主学習機能があるため、例外的な処理にも対応可能です。一方のRPAは、自律的な判断はできず、指示のない業務に対応することはできません。

なお、RPAとAIを連携させたツールもあります。

RPAとAIの違いについては以下の記事でも詳しく解説しています。

▼関連記事
RPAとAIはどこが違う?RPAとAIの連携事例を紹介

RPAと産業ロボットとの違い


RPAと産業ロボットの違いは作業内容です。

産業ロボットとは、工場で人間の手足の代わりに働くロボットを指します。一方RPAは、PCで行う作業を代行するロボットです。

RPAツールが注目を浴びる理由


RPAツールが注目を浴びる理由としては、RPAに次のような効果があるためだと考えられます。

  • 生産性の向上
  • 労働環境の改善やコストカット
  • 人的ミスの防止
  • テレワークの推進

日々のルーチンワークをRPAに任せることで、人間の業務に余裕が生まれ、効率的に仕事を推し進めることができます

また近年日本で問題になっている、生産年齢人口の減少による人材不足の解決策としてもRPA技術は注目されています。

出典:UiPath「働き方改革を実現するRPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは」

おすすめRPAツールを比較


RPAに携わる職種を目指す人は、実際にどのようなRPAツールがあるのか知っておきたいところでしょう。企業への導入実績が多いおすすめのRPAツールの特徴と、ツールごとにキーとなるプログラミング言語は以下の通りです。

【おすすめRPAツールの比較表】

RPAツール 関連性の深いプログラミング言語 特徴
UiPath Visual Basic.NET ・クラウド製品や仮想デスクトップにも対応
・PCに精通していない人でも、比較的直観的に操作しやすい
WinActor VBScript ・プログラミング技術がない人でも操作可能
・NTTグループが開発
BizRobo! Java ・高いセキュリティを誇る
・ドラッグ&ドロップによる直観操作が可能
Blue Prism Visual Basic.NET
C#
・高いセキュリティ対策を実現
・ドラッグ&ドロップによる直観操作が可能

それぞれのRPAツールについて、もう少し具体的に説明していきます。

UiPath

RPAツールの中でも特にシェアが高いのが、UiPath株式会社が提供する「UiPath」です。

UiPathは大手企業への導入経験も多く、コーディングなしの直観的な操作でロボット開発可能であり、RPA未経験者でも利用しやすいRPAツールになっています。日本語マニュアルも用意されているので、最も導入しやすいRPAツールの1つでしょう。

サーバー型とデスクトップ型のどちらの運用にも対応しています。

UiPathのカスタマイズは、Visual Basic.NETの書式を使ったプログラミングで行えます。デバッグの際には、VBのようにステップ実行や変数の監視などが行えるため、未経験者でも比較的開発しやすいRPAツールといえるでしょう。Visual Studioのスキルがあれば使いこなしやすい、利便性の高いRPAツールです。

コーディングの難易度:★

WinActor

「WinActor」は、NTTアドバンステクノロジ株式会社が提供する、日本製のRPAツールです。導入のしやすさと安定性に定評があることから、金融やソフトウェア通信業界など多くの企業での導入実績があります。

基本的にWindows上で行う全ての作業を「シナリオ」として記憶させることでロボット化でき、Office製品やスクラッチ開発の独自システムなどを、プログラミングスキルなしで簡単に操作可能です。

サーバー型、デスクトップ型双方に対応しており、PC1台でのスモールスタートから、大規模システムまで幅広く対応しています。

WinActorのカスタマイズは、VBScriptで行います。開発の際の注意点としては、デバッグ機能が充実しておらず、ログを仕込んで解析するなどのテクニックが必要になることです。

コーディングの難易度:★★

BizRobo!

「BizRobo!」は、RPAテクノロジーズ株式会社が提供する、バックグラウンド型のRPAツールで、国内でも高く評価されています。機械学習機能(ISA)を搭載しているため、あらゆる画面でコントロールすることができます。日本語によるトレーニングコンテンツも充実しています。

BizRobo!は、サーバー型のRPAツールです。1ライセンスをWebサーバーにインストールするだけで、無数のロボットを稼働可能であるため、大規模なシステム構築にも便利です。

関数やオペレーターによるカスタマイズは、Java様式で行います。デバッグモードでは、ステップ実行やブレークポイントの設定が行えるため、比較的開発しやすいPRAツールといえるでしょう。

コーディングの難易度:★★★

Blue Prism

「Blue Prism」は、Blue Prism株式会社が提供するRPAツールです。

フローチャート形式で自動化させたい処理を定義可能なため、論理的思考力さえあれば、基本的にはコーディングすることなく安易にロボットを作成することができます。例外処理もフローチャート描画と設定作業を行うことで実現できます。

Blue Prismは、サーバー型のシステムであり、各事業部門に分散しているRPAロボットを一元管理することが可能です。

ロボットの稼働状況やさまざまなKPIを可視化することで野良ロボット化したロボットを探し出したうえ、管理・修正することができます。

基本的にはプログラミング不要なBlue Prismですが、一部のダイアログボックスでは、式や関数の入力が必要になり、この部分でVisual Basic.NETやC#など多少のコーディング知識が要求されます。

しかし、デバッグ機能は充実しているので、初学者でも取り掛かりやすいRPAツールといえるでしょう。

コーディングの難易度:★(VB.NET)~★★★(C#)

RPA関連職種に就くメリット


近年需要が高まるRPAですが、RPA関連職種に就業するメリットは次の通りです。

将来性のあるスキルが身に付く

RPAはニーズが高く、将来性がある分野です。ひとたびRPA関連スキルを身に付ければ、企業から引く手あまたになる展望です。

RPAを導入しようとする企業は、今後ますます拡大していく傾向にあります。しかし、企業内の担当者がRPAツールを使いこなして業務を自動化するのはハードルが高く、エンジニアの支援が必要な場合がほとんどです。

このようにニーズが高まっているにもかかわらず、RPAは比較的新しい分野の技術であるため、経験のあるエンジニアが慢性的に不足しており、売り手市場となっています。

RPAツール未経験でも就業できる

RPAを扱ううえで必須の資格はなく、たとえRPAツールを使った開発自体が未経験でも、やる気さえあれば就業可能である場合も少なくありません。

ただし、担当工程にもよりますが、ソフトウェア設計やプログラム開発といった経験は必要な場合がほとんどです。この際、開発環境や開発言語は問われないこともあります。

なお、RPAツールによっては、ツールに特化した検定試験を設けていることがあり、取得しておくと就業時に有利になる可能性があります。

たとえば、WinActor向けには「RPA技術者検定」が設定されています。企業へのアピール材料が欲しい時には、こうした資格の取得を目指してみるのもおすすめです。

主なRPA関連職種


RPAツールに携わる職種としては、主に次のようなものが挙げられます。

RPAエンジニア

RPAエンジニアは、自動化対象の業務部分をRPAツールを用いてプログラミングし、ロボット化する仕事を担う職種です。主な担当業務範囲は、要件定義・設計・製造・テスト仕様書作成・テスト・その他ドキュメント作成などです。

運用・保守に特化したエンジニアもおり、実際にロボットを運用したり、サーバーメンテナンスを行ったりします。エラー発生時には、ロボットの修正対応やクライアントへの指示といった緊急対応も担当します。

RPAエンジニアへの就業には、何らかのシステム開発経験は必須です。RPAツールを用いた開発経験があるとアドバンテージになりますが、必須ではありません。

Excel VBAやAccess VBAを用いた開発経験があると、一部RPAのカスタマイズに有用だったり、設計の感覚がつかみやすかったりします。また、RPAと連携させることで、ノウハウを活かしやすくもなります。

さらに、HTMLやCSSの知識があると、Web関連の自動化を進めやすくなります。AIとの連携を視野に入れた場合、C++やPythonなどの知識も役立つでしょう。

RPAプリセールスエンジニア

RPAプリセールスエンジニアは、企業にRPAツールの導入を提案し、販売する仕事を担う職種です。まずは、企業側が自動化を検討している業務内容の聞き取り調査を行い、RPAでの実現方法などを整理・提案します。

職務の特性上、営業と技術者、両方のスキルが必要な職種です。業務未経験の場合には、営業や社内SEなどの実績があると就業に有利となります。

RPAコンサルタント

RPAコンサルタントは、企業側がRPAをスムーズに導入できるよう支援する職種です。企業側の担当者からのヒアリングや、RPA対象業務の洗い出し、シナリオ作成、運用改善など、多岐にわたり幅広く担当する可能性があります。

就業に際しては、RPAツールの実務経験のほか、システム開発・プロジェクトマネージメント・コンサルティングなどの幅広い経験も重視されることの多い、花形の職種です。

RPAコンサルタントの仕事内容や収入事情については、以下の記事でも詳しく解説しています。

▼関連記事
RPAコンサルタントになるには?必要なスキルや年収・単価相場を紹介!

まとめ


RPAの需要は、年々高まる傾向にあり、将来性は抜群です。

また、RPAに携わる職業は、一定の条件さえ満たしていれば、RPAツールを利用した開発自体が未経験であっても就業可能なものも少なくありません。

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