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2022.3.2

M&A仲介会社を選ぶ際の注意点とは?M&A仲介会社を利用するメリットや費用についても紹介

コンサル募集

M&Aが時代から強く求められていることは、近年のM&A件数の推移を見ても明らかです。

実際2021年7月までのM&Aの件数の推移は、7ヶ月で2,500件にも迫る勢いで実施されています。それに伴い、M&A仲介会社が担う役割も年々大きくなっています。

出典:M&A市場の現状と動向 今後の展望も解説【2021年最新】

その一方で、M&A仲介会社の選び方に悩んでいる人も多いでしょう。

本記事では、M&A仲介会社を選ぶ際の注意点や、M&A仲介会社を利用した際の具体的なメリット・デメリットについて解説します。おすすめのM&A仲介会社についても紹介しておりますので、会社選びの参考にしてください。

M&A仲介会社とは?

M&A仲介会社は、M&Aのサポートを行う会社です。専門の知識や経験を持つM&Aアドバイザーが、「譲渡企業」と「譲受企業」の間に入り、M&Aを成功に導きます。

また、M&A仲介会社は「中立性」と「客観性」に特化しており、売り手企業と買い手企業の双方にバランスよく利益を生み出すことを目的としています。

M&Aの基礎

M&Aとは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略です。つまり、M&Aとは資本の移動に伴う企業の合併と買収を指します。

また、具体的なM&Aの目的は「経営改善」「後継者問題の解決」「事業拡大」の3つです。

M&Aには3つの種類がある

M&Aには「買収」「合併」「会社分割」の3種類があります。

買収 企業の経営権や事業の運営権を買い取るM&A。買収が行われると、買収先の会社や事業の経営権が買収元の会社に移転するため、売り手企業の法人格は完全に消滅する。
合併 複数の会社を一つの法人に統合するM&A。買収が行われると買収先の会社や事業の経営権が買収元の会社に移転する。
会社分割 会社内の一部の事業を切り分けた上で、それを他社に承継させるM&A。あくまで買い手企業に承継させる事業は一部のため、売り手企業の経営権は継続となる。

M&AアドバイザーとFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の違い

M&AアドバイザーとFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の両者の違いは、以下の通りです。

アドバイザー 業務のアドバイスや取りまとめをしつつM&A成約までを担う。譲渡企業と譲受企業との関わり方(立ち位置)は、仲介型なのかアドバイザリー型なのかによって異なる。
FA(ファイナンシャル・アドバイザー) 資産運用の提案に特化した業務内容で、金融商品を買うときの取次ぎや購入後のフォローを行う。
M&A案件も扱うが、譲渡企業か譲受企業のどちらか一方とのみ契約を交わし、その企業の利益を最大化することが目的。

M&A仲介会社の選び方のコツ

M&A仲介会社を選ぶ際には、以下で解説する5つのポイントに注意しましょう。

自社のソリースを把握し、会社が進むべき方向性と相性の良いM&A仲介会社を見極めることが大切です。

①M&A仲介会社の強みを把握する

M&A仲介会社の強みを把握しておくことは、有益なM&Aを実施するためにとても重要です。特に、M&A仲介会社が得意とする「業種」や「地域」、取り扱っている案件の「取引規模」を把握しておくことが、会社選びをする上で大切になります。

例えば、IT業界のM&Aを得意とするM&A仲介会社に介護業界のM&Aサポートを依頼しても、細かいニーズに対応した支援業務は困難でしょう。仮に希望に沿うサポートを行ってくれたにしても成約までに時間がかかり、結果的に労力や資金面での負担が大きくなる可能性が高くなります。

地域に密着したM&A仲介会社を選ぶことも大切です。例えば、売り手企業の商品やサービスが地域と深く結びついている場合、地域密着型のM&A仲介会社であれば、正確な企業価値評価を見出すことができます。

また、M&A仲介会社の取引規模を把握しておくことも重要です。取り扱う案件の規模によって、M&Aアドバイザーに必要な能力や営業スタイルが異なるからです。

②M&A仲介会社の実績を比較する

M&A仲介会社を選ぶ際は、経験豊富なM&Aアドバイザーが在籍する実績の多い仲介会社を選びましょう。実績数の多い仲介会社は、その分企業との繋がりが多いため、より条件に合った顧客とのマッチングがしやすくなります。

また、特定の案件に多くの実績も持つM&A仲介会社なら、「簿外債務の発覚」や「経営陣の中にM&Aの反対者がいる場合」など、予想外のトラブルが起こってもスムーズに解決してくれます。

③M&A仲介会社の「型」で選ぶ

M&A仲介会社には、「仲介型」と「アドバイザリー型」の2種類の「型」があります。

まず「仲介型」は、中立的な立場からM&Aの成功を目指し、買い手・売り手の双方から報酬を受け取るという特徴があります。

「アドバイザリー型」は、依頼主の意見を汲んで交渉に臨み、契約を結んだ相手側から報酬を受け取るのが特徴です。

「仲介型」のメリットは、アドバイザーが中立な立場で交渉を進めるため、交渉時のトラブルが少なく、時間短縮に繫がる点にあります。また、スピーディーな成約は経費削減の面からも有益です。

一方の「アドバイザリー型」は、依頼主の希望条件を元に交渉を進めるため、成約時の高い利益率が期待できます。ただし、アドバイザーが自分の顧客利益のみに固執すると、成約率の低下や成約期間の長期化から、結果的に利益率が低くなる場合もあります。

④法務・財務の専門家がいるM&A仲介会社を選ぶ

M&A仲介会社を選ぶ際、法務・財務の専門家がいる仲介会社を選ぶことも大切です。なぜなら、M&Aでは買い手企業が売り手企業の内情を調査する、「DD(買収監査)」を行う必要があるからです。

DDには、税理士や司法書士といった専門家の知識や経験、あるいは各専門士業の「独占領域」に関わる権限が必要になります。

また、自社で法務・財務関係の専門家がいる場合でも、M&A仲介会社に依頼する方が安心です。M&A仲介会社に在籍する法務・財務関係の専門家は、M&Aの経験が豊富なため、より正確なDDを行ってくれます。

⑤着手金不要のM&A仲介会社を選ぶ

M&A仲介会社に依頼する費用を抑えたいなら、「完全成功報酬型」の仲介会社を選びましょう。「完全成功報酬型」のM&A仲介会社なら成功報酬のみの支払いでよく、着手金等の初期費用がかかりません。

例えば、1件目の交渉がうまくいかなかった場合でも次の交渉先を探す際に費用がかからないため、落ち着いて顧客探しができます。

ただし、M&Aの成立がなされない限りM&A仲介会社に利益が生まれないため、悪質な業者に当たると基本合意を急かしてくるケースもあります。M&A仲介会社を利用する際は、アドバイザーの話を鵜呑みにするのではなく、自社にとって最良の選択は何かをしっかりと見極めることが大切です。

M&A仲介会社を10社比較

M&A仲介会社を10社紹介します。

  • M&Aキャピタルパートナーズ
  • ストライク
  • クラリスキャピタル
  • インターリンク
  • M&Aベストパートナーズ
  • ウィルゲート
  • ブティックス
  • 名南M&A
  • オンデック
  • M&Aネットワークス

業界大手の有名企業から地方で強みを発揮している企業、あるいは専門業種に特化したM&A仲介業者など特徴はさまざまです。

着手金の有無ももちろんですが、PMIなどのサポートの充実度や信頼性に注視して選ぶことが大切です。

M&Aキャピタルパートナーズ

項目 概要
会社名 M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
設立 2005年10月
所在地 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウノースタワー38階
会社のタイプ アドバイザリー型
得意業務 M&A全般
着手金の有無 着手金なし(中間報酬として、成功報酬の10%前払いあり)、成功報酬あり
資本金 28億円

出典:M&Aキャピタルパートナーズ

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社は、東証一部上場を果たしているM&A業界を牽引する大手企業です。M&A全般を得意としていますが、中でも事業継承案件で多くの実績を持ちます。

また、M&Aの検討初期から成約まで専任の担当コンサルタントが一貫したサポートを行うため安心です。

上場企業平均年収ランキングでは常に上位にランキングしており、優秀なスタッフが数多く在籍しています。

ストライク

項目 概要
会社名 株式会社ストライク
設立 1997年7月
所在地 東京都千代田区大手町1-9-2大手町フィナンシャルシティグランキューブ18F
会社のタイプ アドバイザリー型
得意業務 M&A全般
着手金の有無 着手金なし(基本合意報酬あり。最高300万円)、成功報酬あり
資本金 8億2,374万円(2021年9月30日現在)

出典:株式会社ストライク

株式会社ストライクは、1997年7月に設立された東証一部に上場している会社です。東京本社を中心に全国に7拠点のオフィスを持ち、M&A仲介会社の大手として多数の実績を持っています。

ストライクは、日本初のインターネットM&Aサービスである「SMART(正式名称:M&A市場SMART)」を提供している企業です。時間や場所の制限を受けないSMARTは、全国から多数の依頼を受けることで、より顧客に寄り添ったマッチングを実現しています。

その他にも、M&Aに関する情報発信サイト「M&A Online」の運営や経営者向けのM&Aセミナーも開催しており、豊富な情報力や専門性が強みと言えるでしょう。

クラリスキャピタル

項目 概要
会社名 株式会社クラリスキャピタル
設立 2014年5月
所在地 東京都中央区湊二丁目15番14-2502号
会社のタイプ 仲介型
得意業務 M&A全般
着手金の有無 着手金なし、成功報酬あり(200万円から)。M&A手数料は業界最安値
資本金 7,800万円

出典:クラリスキャピタル

株式会社クラリスは、2014年5月に設立された比較的新しい会社です。中堅・中小企業を専門とするM&A仲介会社で、取引価格1億円未満の小規模案件を成功へ導いた経験も豊富なため、規模の小さい案件にも親身になって対応してくれます。

また、クラリスのM&Aアドバイザーは少数精鋭のため、案件への迅速な対応が可能です。タイミングが重要と言われるM&Aにおいて大きな強みと言えます。

インターリンク

項目 概要
会社名 インターリンク株式会社
設立 2010年8月
所在地 東京都中央区八丁堀3丁目17番6号群成舎八丁堀ビル3階
会社のタイプ 仲介型
得意業務 M&A全般
着手金の有無 着手金あり(成功報酬の内金)、成功報酬あり
資本金 3,000万円

出典:インターリンク

インターリンク株式会社は、2010年8月に設立された比較的新しい会社です。独立・中立の立場を徹底しており、公正な視点から課題を発見し解決策を提示してくれます。

また、インターリンクは会社こそ新しいですが、在籍する社員のM&A歴は長く、精鋭が揃った会社です。トラブルが起こったとしても、経験豊富なメンバーがサポートしてくれるため安心して任せられます。

また、インターリンクはM&Aの戦略立案、案件創出、案件の実行からポストマネージャー支援まで行ってくれる充実のサポート体制です。加えてクロスボーダーにも対応しているため、幅広い顧客とのM&Aを可能にします。

M&Aベストパートナーズ

項目 概要
会社名 株式会社M&Aベストパートナーズ
設立 2018年8月
所在地 東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル8階
会社のタイプ 仲介型
得意業務 製造業・建設業・不動産業・ヘルスケア業のM&A
着手金の有無 着手金なし(ただし、基本合意の締結時、中間報酬250万円or成功報酬の10%の前払いあり)、成功報酬あり
資本金 HP記載なし

出典:M&Aベストパートナーズ

株式会社M&Aベストパートナーズは、M&Aキャピタルパートナーズ出身の2名によって、2018年8月に設立された会社です。社歴はかなり短いですが、全国に10箇所の拠点を持ち(2022年1月23日現在)、力を持った会社であることが分かります。

そんなM&Aベストパートナーズの最大の特徴は、製造・建設・不動産・ヘルスケアに特化したM&Aにこそあると言えるでしょう。M&Aの約90%がこの4領域で占められているため、経営者はより専門性の高いアドバイスが受けられます。

参照:“我々が目指す”M&Aとは

ウィルゲート

項目 概要
会社名 株式会社ウィルゲート
設立 2006年6月
所在地 東京都港区南青山3-8-38 南青山東急ビル3F
会社のタイプ 仲介型
得意業務 IT・WEB業界のM&A
着手金の有無 着手金なし、成功報酬あり
資本金 6,000万円

出典:ウィルゲート

株式会社ウィルゲートは、IT・WEB業界に精通しているM&A仲介会社です。WEBマーケティングやSEOコンサルティングも手がけており、仕事を通して構築されたネットワークを活かし、より最適でスピーディーなマッチングが可能です。

ブティックス

項目 概要
会社名 ブティックス株式会社
設立 2006年11月
所在地 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル11階
会社のタイプ 仲介型
得意業務 介護業界・福祉業界・医療業界のM&A
着手金の有無 着手金なし、成功報酬あり(成約基本料:介護・福祉業界→100万円、医療業界→200万円)
資本金 2億6,126万円(2021年9月末現在)

出典:ブティックス株式会社

ブティックス株式会社は、東証マザーズにも上場している、介護・福祉・医療業界のM&A仲介に特化した会社です。

また、ブティックスは来場者が3万人を超える介護製品の展示会を毎年開催しています。そこで集積した知識や人脈を活かしたブティックスの介護業界におけるM&A仲介は、業界ナンバー1の実績です。

参照:ブティックス株式会社

また、ブティックスは業界最安水準の手数料体系のため、小規模事業者も利用しやすくなっています。

名南M&A

項目 概要
会社名 名南M&A株式会社
設立 2014年10月
所在地 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番1号 JPタワー名古屋34階
会社のタイプ アドバイザリー型
得意業務 医療介護業界・自動車業界のM&A
着手金の有無 HP記載なし
資本金 3億1,000万円

出典:名南M&A株式会社

名南M&A株式会社は、東海地方に豊富な実績を持つ会社です。2001年事業開始以降の成約件数とアドバイザー数は、東海エリアにおいては業界トップクラスです。

また名南M&Aは、東海地方のすべての地方銀行や第二地方銀行、有力な信用金庫と提携関係を結び東海地方に独自のネットワークを構築しています。

銀行とM&Aの関係性はかなり密接です。そのため、名南M&Aに集まってくる情報が有益であることが分かります。

オンデック

項目 概要
会社名 株式会社オンデック
設立 2007年12月
所在地 大阪府大阪市中央区備後町3-4-1 備後町山口玄ビル3F
会社のタイプ 仲介+アドバイザリー
得意業務 M&A・事業継承支援・事業売却
着手金の有無 着手金あり、成功報酬あり
資本金 3億7,272万円(2021年1月31日現在)

出典:オンデック

株式会社オンデックは、M&Aが認知され始めた2000年代から業務を行っており、実績や知識が豊富な会社です。特に中小企業に対してのM&A案件を多く取り扱ってきたことから、M&Aを総合的にサポートできる強みを持ちます。

また、オンデックスは企業の規模を問わずM&A事業を行っているため、他社では取り扱いが難しい小規模案件でも力になってくれる可能性が高いでしょう。地方密着型の側面もあります。

M&Aネットワークス

項目 概要
会社名 株式会社エスネットワークス
設立 1999年10月7日
所在地 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館15F
会社のタイプ アドバイザリー型
得意業務 M&A・経営統合・事業承継支援
着手金の有無 着手金なし、成功報酬あり
資本金 5億6,700万円

出典:M&Aネットワークス

M&Aネットワークスは、株式会社エスネットワークスが運営しているM&Aアドバイザリーです。売り手企業(譲渡側)を専門にサポートし、M&Aの開始から経営統合支援まで幅広くサービスを提供しています。

また、運営会社のエスネットワークスの業務である、経営コンサルティングで構築したネットワークを駆使し、よりスピーディーに顧客の要望に沿ったM&Aサービスの提供が可能です。

M&A仲介会社の利用料金

M&A仲介会社の利用料金を大別すると6種類あります。

M&Aが不成立でも返金されない利用料金や、法的拘束力を付与しておくべき利用料金もあるため、内容をしっかりと把握しておきましょう。

相談料

M&Aにおける相談料とは、M&Aを実際に行うかどうか判断する際に、専門家(M&AアドバイザーやFA)にアドバイスを貰うための手数料のことです。

つまり相談料とは、M&Aが正式に決まる前に発生する費用になり、ほとんどのM&A仲介会社では無料になります。

ただし、稀に1回の相談につき5,000〜10,000円程度の相談料が発生する仲介会社もあります。

出典:M&Aの手数料はいくら?

着手金

M&Aにおける着手金とは、M&Aの専門家にM&Aサポートを正式に依頼する際に支払う手数料のことです。

費用の相場は、50〜200万円程度になります。成功報酬の金額と比較すると少額ですが、着手金は一度支払ってしまうと返金されません。

つまり、今後のM&Aに必要な売買相手を探すため、あるいは企業価値評価に使用されるための資金になります。より有益なM&Aの相手先を見つけるための初期投資と言えます。

出典:M&Aの手数料はいくら?

デューデリジェンス(DD)費用

M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)費用とは、買い手企業がM&Aの相手先である会社の会計・税務・法務面などの調査費用のことです。

DD費用の目安は、中小企業同士のM&Aでも最低50〜300万円程度かかります。ただし、相手先の会社の規模が大きい場合や取引が複雑な場合などは、さらに高くなる可能性があります。

出典:日本M&Aアドバイザー協会

リテイナーフィー(月額報酬)

M&Aにおけるリテイナーフィーとは、M&A仲介会社に支払う月額報酬(定額顧問料)のことを指します。リテイナーフィーの相場は30〜200万程度ですが、依頼するM&A仲介会社によって金額が異なります。

出典:M&Aの手数料はいくら?

また、リテイナーフィーはM&A仲介業務に関するサービス(調査・分析・戦略立案・面談など)に対して支払う費用のため、M&Aの成約に繋がらない場合でも返金されません。リテイナーフィーを不要とするM&A仲介業者も増えているため、資金と相談しつつ検討しましょう。

ちなみに、M&A仲介会社によっては「着手金=リテイナーフィー」としている場合があります。

中間報酬

M&Aにおける中間報酬とは、M&Aの基本合意契約を締結したときにM&A仲介会社に支払う手数料のことです。ただし、中間報酬の支払時期は会社によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

中間報酬にかかる費用は、50〜200万円程度の場合や成功報酬額の10〜20%の場合、あるいは中間報酬が発生しない場合もあります。

出典:M&Aの手数料はいくら?

成功報酬

M&Aにおける成功報酬とは、M&Aが成立し最終契約を結んだ後にM&A中立会社に支払う手数料のことです。そのため、M&Aが不成立の場合は、成功報酬を支払う必要はありません。

成功報酬の額は、「レーマン方式」と呼ばれる計算体系で算出されることがほとんどです。「レーマン方式」とは、M&A仲介会社や弁護士など、成果の大きさに応じて報酬が変動する業種で採用されている算出方法になります。

基本的なレーマン方式の基準は以下の表の通りです。

成功報酬額 料率
5億円以下 5%
5億円超~10億円以下 4%
10億円超~50億円以下 3%
50億円超~100億円以下 2%
100億円超 1%

出典:レーマン方式とは?報酬計算の仕組みと早見表、危険な注意点も解説

ただし、上記の算出方法にアレンジを加えている業者も多く存在します。例えば成功報酬額が5億円以下の場合に料率6〜10%の細かい設定を設けたり、逆に料率の値引きで他社との差別化を図っているM&A仲介会社もあります。

出典:レーマン方式とは?報酬計算の仕組みと早見表、危険な注意点も解説

M&A仲介会社を利用してM&Aを行うメリットは?

M&A仲介会社を利用すると、多くのメリットがあります。

特にM&Aの知識・経験に対して不安がある場合や時間の節約を重視したい場合は、M&A仲介会社がおすすめです。

専門的な知識を有する会社がM&Aをするので安心

M&A仲介会社は、M&Aに関わる専門的な知識やノウハウ、あるいは実務能力に優れた人材が集まりやすい特徴があります。そのため、M&Aの知見に乏しい企業がM&Aを行う場合、M&A仲介会社に依頼することで安心してM&Aに臨めるでしょう。

なぜM&A仲介会社に優秀な人材が集まりやすいのかは、2021年10月に東洋経済オンラインで掲載された、日本の企業を対象にした生涯給料のランキング一覧表を見るとよく分かります。

順位 社名 平均年収(万円) 平均年齢
1位 M&Aキャピタルパートナーズ 2,269 31.4
2位 キーエンス 1,751 35.8
3位 ヒューリック 1,708 39.4
4位 伊藤忠商事 1,627 40.2
5位 三菱商事 1,678 42.7
6位 日本商業開発 1,558 40.3
7位 ストライク 1,357 35.5
8位 三井物産 1,482 42.1
9位 日本M&Aセンターホールディングス 1,243 34.3
10位 住友商事 1,356 42.7

出典:生涯給料「全国トップ500社」最新ランキングより一部抜粋

上表から分かる通り、M&A仲介会社が上位に3社もランクインしています。さらには、他の上位ランク企業に比較して、M&A仲介会社の平均年齢が低いことが分かるでしょう。

M&Aを成功させるためには高い専門性や実務能力が不可欠なため、企業も即戦力となる優秀な人材を集めようと必死になります。そのため、M&A仲介会社に在籍する社員への給料は自然と高くなり、若くて優秀な人材が集まりやすいです。

こうした傾向は当然実績のあるM&A仲介会社に顕著に現れます。つまり、確かな実績を持つM&A仲介会社に案件を依頼することは、高い専門性と実務能力の恩恵により自然と高い成約率に繋がるため、経営者は安心して業務を依頼することができるのです。

M&AアドバイザーやM&Aコンサルタントの年収事情については、以下にてより詳しく解説しています。

▼関連記事
M&A業界の平均年収は?「年収が高い」と言われる理由とともに解説

顧客を見つける手間が省けるため経営に集中できる

M&A仲介会社を利用することは、M&Aの相手先を見つける手間が省けるため、経営に集中できるメリットがあります。

仮にM&Aの知識や経験に乏しい企業が独自にM&Aを実施しようとすれば、M&A仲介業者を利用する場合(10ヶ月~1年程度)と比較して、倍以上の時間と労力を費やすことになるでしょう。

本業に費やす時間を削らないためにも、M&Aの実施に不安のある企業はM&A仲介会社への依頼がおすすめです。

M&A仲介会社を利用してM&Aを行うデメリットは?

M&A仲介会社を利用するデメリットには、「利益相反取引」の問題が大きく関係しています。

「利益相反取引」とは、片方にとって利益になる取引であっても、もう片方にとっては不利益が生じる取引のことです。

M&Aを選ぶ際にも大きく影響する問題なため、2項目に分けて解説します。

買い手が有利な条件になりやすい

まず「利益相反取引」をM&Aに当てはめてみましょう。すると、売り手企業は「より高く売りたい」と考える一方で、買い手企業は「より安く買いたい」と考えるため、両企業の要望が相反していることが分かります。これがM&Aにおける「利益相反取引」です。

ここで問題になるのが、M&A仲介会社と顧客との関係性になります。M&A仲介会社としては、今後の取引の可能性が低い売り手企業よりも、リピートの可能性が高い買い手企業をM&Aにおいて優遇したいと考えるのが普通です。

そのため、M&A仲介会社を利用する際には、特に売り手企業には、「買い手企業を優遇しているのでは?」という疑念が常に付きまといます。

情報漏洩のリスクがある

「利益相反取引」でもう1つ問題視されているのが、情報漏洩のリスクです。

例えば売り手企業が、妥協できる下限額をM&Aアドバイザーに伝えている場合、それが買い手企業に情報として流れれば、それ以上の値段での取引は不可能になります。こうした問題も、M&A仲介会社と顧客の関係性から起こってしまう場合があります。

対策としては、「仲介型」ではなく「アドバイザリー型」のM&A仲介会社に依頼するか、実績や評判の良い業者を複数ピックアップし「信頼できる業者か見極める」必要があります。

まとめ

M&A仲介会社を利用することは、有益なM&Aを、短時間で成約するためにはとても有効です。なぜなら、M&A仲介会社はその特性上、優秀な人材が集まりやすい環境が整っているからです。そのため、M&Aの案件は自然とM&Aを扱う企業に集中します。

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