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分析してみた

2024.3.7

「ストレスに影響の大きい大気中の化学成分を特定」データ活用基盤×外部データ分析示唆。企業の環境活動における潜在リスクの把握。

 データ駆動型経営に向けた成果志向のコンサルティング事業及び関連サービスを提供するLiberty Dataは、「ストレスに影響の大きい大気中の化学成分を特定」についてデータ活用基盤×外部データの分析を行いました。
 その結果として、大気中の化学成分の存在量がストレスが比例することと、その大気中の成分の内ストレス影響が大きいものを特定しました。
 企業は外部データを用いた分析を様々なビジネス判断に活用することで、業務品質向上、潜在リスクの早期把握が期待できます。また、データ活用基盤の使用することで、分析対象のデータ量が少なくても効果的な結果を得ることができます。

1.なぜ「ストレスに影響の大きい大気中の化学成分を特定」に着目するのか

■環境に関する企業活動とリスク管理

化学製造業界の企業にとって環境への配慮は重要な課題の一つです。企業は、環境保護活動に積極的に取り組み社会との共生を目指すと同時に、リスク評価を行い潜在的な問題を把握する必要があります。

◇環境保護に関する法的規制

 環境保護に対する法的規制は、排出物の制限や廃棄物の適切な処理方法などの環境負荷を規定しています。これらの法令に違反すれば罰金や業務停止といった厳しい措置が課せられる可能性があるので、法令順守は企業にとって絶対的な要件であり、適切なリスク管理が不可欠です。

関連する法規制の例『大気汚染防止法』
 人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として、「環境基準」が環境基本法において設定されており、この環境基準を達成することを目標に、大気汚染防止法に基づいて規制を実施しています。  大気汚染防止法では、固定発生源(工場や事業場)から排出又は飛散する大気汚染物質について、物質の種類ごと、施設の種類・規模ごとに排出基準等が定められており、大気汚染物質の排出者等はこの基準を守らなければならないとされています。
(参照:大気汚染防止法の概要(固定発生源) | 大気環境・自動車対策 | 環境省 (env.go.jp)

◇CSR活動としての環境保護

 環境への配慮は、法的な観点だけでなく企業のCSR活動(社会的責任)の一環と見なされます。配慮が不十分だと、企業の評判やブランド価値にも大きな損害を与えるリスクがあります。逆に、環境に対する前向きな取り組みは顧客や投資家の信頼を築く要因となります。特に、“グリーンケミストリー”などの業界トレンドの取込や“SDGs”,“CO2削減”など世界的な取り組みへの参加は、顧客や投資家からの評価が高く、企業の価値向上が期待できます。

補足:グリーンケミストリーとは
 グリーンケミストリーとは、化学物質のライフサイクル(原料の選択から、製造および使用・廃棄までの過程)全体において、人体および環境への環境負荷を低減しようとするコンセプトと、そのための技術の総称
(参照:https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=77)

■ストレスと大気中の化学成分の関係性を明らかにすることで、新しい観点でのリスクを発見する

空気の品質が公害のようなわかりやすい健康被害を及ぼすことはよく知られており、大気汚染防止法を始めとする関連規制も存在しています。(環境基本法 – Wikipedia
では、新たな観点として空気の品質が人にストレスを与えることはないのでしょうか。大きな健康被害には至っていないもののストレスという形でより身近な被害を及ぼしている可能性は十分あり、将来の法規制変更など潜在的なリスクがあると考えられます。
今回は”ストレス”と”大気中の化学成分”の間にはどのような関係があるのか検証します。

2.その関係性を明らかにするために、どのようなデータを用いるか

ストレスと大気中の化学成分の関係性を明らかにするために、政府から一般公開されている下記データを用いて統計分析を行います。

使用データ❶:大気中の化学成分 ⇒「揮発性有機化合物(VOC)成分自動測定結果」

◇外部データの選定

 大気汚染防止法の項目の中でも化学製造業界への影響が大きいのが”揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制”です。そのため、空気の質の示すデータとして、この規制で扱われるVOC測定データを使用します。
揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制 | 大気環境・自動車対策 | 環境省 (env.go.jp)

 

◇環境省公表データ「揮発性有機化合物(VOC)成分自動測定結果」について

 環境省では、平成29年5月より、原則として1日2回、2時と14時にVOC成分の定期測定を行う機器を全国4ヵ所に設置し測定を行っています。今回の検証では、東京・埼玉・群馬の3か所のデータを使用します。また、56種類のVOC成分を測定対象物質としています。
揮発性有機化合物(VOC)成分自動測定結果 | 大気環境・自動車対策 | 環境省

使用データ❷:ストレス影響 ⇒「精神病院受診率」

◇外部データの選定

 VOC測定地点の周辺地域住民のストレスを表す定量的なデータとして、人口データと精神病院外来者数データを用いて精神病院受診率を算出し使用します。

◇精神病院外来者数データについて

 政府統計ポータルサイトe-Statで、”外来患者延数(精神科病院)”を出力します。

◇人口データについて

 政府統計ポータルサイトe-Statで、”都道府県別の総人口”を出力します。(データ表示 | 都道府県データ | 社会・人口統計体系 | 地域から探す | 政府統計の総合窓口

3.その結果として関係性は見いだせたのか

【結果1】大気中の化学成分(VOC成分)が上がれば上がるほど、ストレス(各都市の精神病院受診率)が上がることがデータ分析の結果から示唆されている

◇首都圏の内、VOC成分の計測データがある東京・埼玉・群馬に着目して指標を整理しました。

その結果、VOC成分量の指標が5000pt上昇したとき、
3地点を合わせたデータを見ると、精神病員受診率は単純平均で10.3%上昇します。また、都心部に近いほどその傾向は顕著になります。

東京のみのデータを見ると、同条件で14.3[%]上昇します。
埼玉のみのデータを見ると、同条件で11.8[%]上昇します。
群馬のみのデータを見ると、同条件で4.9[%]上昇します。

補足:大気中のVOC成分と、各都市の精神病院受診率には相関がある

【結果2】ストレス(各都市の精神病院受診率)への影響が大きい大気中の化学成分(VOC成分)ランキング「1位は”1,3,5-トリメチルベンゼン”」

◇精神への悪い影響が大きいVOC成分ランキング

◇上記とは逆に、精神へプラスの影響が大きいVOC成分ランキング

◇補足:悪影響上位3種のVOC成分と精神病院受診率の相関関係

 

■応用性

● データ活用基盤を使用すると分析対象のデータ量が少なくても効果的な結果を得ることができます。

● 外部データを活用したデータ分析をすることで業務品質向上*が期待できます。 (例えば、*市場動向や競合情報など総合的な洞察をリアルタイムで獲得し業務戦略を向上、天候データや経済指標などの外部要因を考慮し予測分析の品質を向上、など。)

● データ活用基盤×外部データの分析を行うことでビジネスにおける潜在リスクの早期把握が期待できます。

4.使用したデータ活用基盤について

今回行ったデータ分析はLiberty Dataが提供するツール「Liberty DSP」を使用することで実現可能です。Liberty DSPは、蓄積→分析・可視化→事象予測→事業最適化までを一気通貫で有機的に自動遂行することを志向したデータサイエンスプラットフォームです。

サービスサイト_「Liberty DSP」 https://www.liberty-nation.com/product/

資料請求・お問合せ https://www.liberty-nation.com/contents/

5.Libatydataについて

Liberty Data(会社名:株式会社Curiositas)は、データ駆動型経営に向けた成果志向のコンサルティング事業及び関連サービスを提供しております。

これまで業界を問わず、データDXを強みとしたハンズオン型のビジネス改革や異業種参入を含む新規事業の創出において多数の支援実績を有しております。

また別の海外事業である完全データ駆動型の農業事業ノウハウとデータプラットフォームを他業界向けに標準化した「Liberty DSP (Data Science Platform)」を製造業を中心に多数の企業に提供しております。

 

・事業名  :Liberty Data(会社名:株式会社Curiositas)

・所在地   : 東京都港区新橋5-17-1

・代表者   : 佐藤 辰勇

・事業内容 :データ駆動型経営に向けたコンサルティング・サービス提供、

・企業サイト:https://www.liberty-nation.com/