M&Aはあらゆるシーンで需要があり、注目が集まっています。M&A業界に関わるには高い専門性を必要とするため、年収も高額です。

市場の拡大やニーズの増加を受け、就職、転職したい方が急増している業界だと言えるでしょう。

この記事ではM&A業界の業務内容、業態のほか、業界別の最新動向もくわしく解説します。

M&A業界の現状

出典:グラフで見るM&A動向はM&A件数や金額の推移などM&A統計を掲載|レコフデータが運営するM&A情報データサイトMARR Onlineマールオンライン

リーマンショック以降、M&A件数は新型コロナの影響を受けた2020年を除いて増加し続けており、2021年には前年から14.7%増を記録しています。

出典:2021年のM&A回顧(2021年1-12月の日本企業のM&A動向)

出典:グラフで見るM&A動向はM&A件数や金額の推移などM&A統計を掲載|レコフデータが運営するM&A情報データサイトMARR Onlineマールオンライン

また、市場規模の評価としては、2018年に日本企業による海外企業買収で過去最高額となる、武田薬品工業のアイルランド製薬大手のシャイアー買収(約7兆円)がありました。

また、ソフトバンクグループの米ウーバー・テクノロジーズへの資本参加(約9兆円超)などの大規模M&Aの影響で、市場規模が30兆円に迫りました。

直近5年間では、平均して15〜20兆円前後の市場規模と言えます。

出典:過去最高の件数・金額だった 2018年の M&A、最も存在感を示した企業

売り手も買い手も日本企業のIn-In型の取引がもっとも多く、日本企業が買い手のIn-Out型、日本企業が売り手のOut-In型と続いています。

なお新型コロナの影響により、海外との取引は減少中です。

M&A業界の主な業態

ここではM&A業界の主な業態を解説します。

売り手買い手を仲介する「M&A仲介会社」

「M&A仲介会社」は売り手と買い手の間に立ち、やり取りの仲介をします。それぞれにメリットがあるよう、バランスを考えながらサポートする業態です。

売り手側、買い手側どちらか片方と契約するのではなく、中立的な立場に立ち交渉を進めます。双方の利益の最大化を目指し、課題を解決していきます。

利益の最大化をサポート「ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス」

「ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス」は、売り手、買い手にアドバイスをする業態です。中立的な立場であるM&A仲介会社とは違い、どちらか片方と契約をします。

利益の最大化を最優先に、専門的な知識を駆使して売り手側、買い手側をサポートするのが仕事です。必要があれば、相手側への強い交渉も求められます。

投資家から資金を集める「投資ファンド」

「投資ファンド」は、投資家から資金をあつめ、企業価値を高めた企業を買収時の金額よりも高い値段で売る業態です。企業のサポートではなく、自社そのものがM&Aを行います。

自社が経営に参画する点が、他の業態と大きく違う点です。組織改善や業務改善を行い、他社に売却をして利益を得ます。

ファイナンスができる「銀行・証券会社」

銀行と証券会社は、銀行が持つ広いネットワークを駆使し、M&Aをサポートする業態です。他の業態との大きな違いは、資金調達ができるファイナンスのサポートが受けられる点にあります。

資金面を銀行側が把握していれば、融資先から資金の回収ができない事態を未然に防ぐことが可能です。銀行によるM&Aのサポートは、大手企業から中小企業、個人も活用できるという特徴があります。

WEBで案件を探せる「M&Aマッチングサイト」

「M&Aマッチングサイト」は、WEBで気軽に案件を探せるツールです。地域や業種を検索すると、探している案件を見つけることができます。

大企業から中小企業まで幅広い案件がそろっており、興味がある企業にWEB経由でメッセージが送れるサイトもあります。M&Aの需要を受けて、発展し続けている業態です。

M&A業界の業務内容

M&A業界の業務内容を解説します。

マッチング

M&Aは売り手、買い手のマッチングからスタートします。企業を買収したくても、知識やネットワークがないと相手を見つけることはできません。

最初の段階をクリアできるよう、いかに優秀なM&Aの仲介会社やファイナンシャルアドバイザリーに依頼できるかがポイントになります。

マッチング前の企業評価ノンネームシートの作成なども業務に含まれます。

条件交渉をサポート

M&A取引にとって条件の交渉はとても重要なフェーズです。有利な条件で交渉を進めるには、M&Aの豊富な経験値と知識を必要とします。

主な条件交渉の業務は、企業の魅力を正しく伝え、金額や期限を決める業務です。蓄積したノウハウを駆使し、難しい交渉やトラブルに対応するのも仕事です。

M&Aスキームの検討

条件交渉が成立すると、企業の特性、目的に合ったスキームの検討に進みます。スキームとはM&Aの手法と一連の流れをさし、株式譲渡や事業譲渡などが主流です。

どのスキームを選ぶかで、必要な手続きはもちろん得られる利益も変わる重要な工程となります。企業の特性を見極め、どのスキームが最適かを見定める業務です。

スキームの検討を見誤ってしまうと、相手企業の負債を引き継いでしまう可能性があります。リスクを最小限にとどめつつ、今後スムーズに交渉が進むようベストな選択をするスキルが求められます。

バリュエーション

バリュエーションは企業価値を評価する重要なフェーズです。計算するには知識が必要なため、M&A仲介会社や銀行などの専門家に依頼をします。

企業の資産や利益を数値化し、M&Aの一般的な計算法で算出されます。他に類似している企業がないか、負債の価値をリサーチするのも業務です。

企業価値は、M&Aの目的により判断基準が異なります。継続が目的か譲渡を前提としているか、などから逆算し、正しく企業価値を評価できるスキルが必要です。

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、検討している企業に問題がないか調査を行うフェーズです。財務状況はもちろん、人材や経営のリスクを徹底的に調査します。

安い値段で買収できても、負債を抱えた企業を買収してしまうと将来的に大きな損失につながります。デメリットが大きい場合、取引そのものが中止になるケースもあります。

コンサルタントに限らず、外部の税理士や弁護士の知識を借りて多角的に精査します。M&Aにとって、最も重要な過程のひとつです。デューデリジェンスについては以下の記事にて詳しく解説しています。

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M&Aのデューデリジェンスとは?期間や手順、費用の目安、注意点を徹底解説!

契約書・資料作成

M&Aをするにあたり、企業の情報を正確に伝える資料と契約書が必要です。特に契約書は買収後の企業のスムーズな運用にも大きく関わります。

契約書や資料の作成は、プロフェッショナルによるアドバイスが必要です。法務面は弁護士、財務面は税理士など、専門家に依頼するのが一般的です。

契約書の作成は、あらゆるリスクを想定して作られます。買収した企業が買収後もスムーズに経営できるよう、多角的な目線で判断する能力が必要です。

PMI

PMIとは、M&A成立後に経営統合を進めるフェーズのことです。経営統合がうまくいかないと、シナジー効果が発揮されません。

2つの企業が合併すると、グループ方針や取引先の共有、従業員へのケアが必要です。業務に支障が出るため、スピーディーかつ慎重に行う必要があります。

M&A自体が成功しても、PMIがうまくいかず莫大な損出が出るケースもあります。PMIの実行を専門とする人材の確保や、経営陣のリーダーシップが成功のカギとなるでしょう。

M&Aの業務内容に加えM&Aの目的や種類など、基礎的な情報については以下の記事にて解説しています。

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【図解あり】M&Aとは?目的・種類・流れ・市場動向を徹底解説!

M&A業界の年収

M&A業界に関わる業種は、高い専門性と豊富な経験が必要です。

以下はM&Aアドバイザーの年収を企業の種別でまとめた表です。

アドバイザーの所属企業 年収
上場経営コンサルティング会社 約600〜2,000万円
外資系経営コンサルティング会社 約650〜2,000万円
未上場経営コンサルティング会社 約400〜1,000万円

出典:M&A業界が年収ランキング上位を占める理由!会社別給料・ボーナスの解説 | ソーシング・ブラザーズ株式会社 ❘ 独立系プライベートバンク

上表からわかるように、上場企業のM&Aアドバイザーの年収は約600〜2,000万円となっており、外資系コンサルタントも約650〜2,000万円で上場企業とはあまり変わりはありません。

生涯年収を22歳で就職し、65歳を定年と想定すると、約4億6000万円でかなり高額だといえるでしょう。

出典:M&A業界が年収ランキング上位を占める理由!会社別給料・ボーナスの解説 | ソーシング・ブラザーズ株式会社 ❘ 独立系プライベートバンク

M&A業界の年収事情については以下の記事で詳しく紹介しています。

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M&A業界の平均年収は?「年収が高い」と言われる理由とともに解説

【2022年最新版】業界別のM&A動向を解説

業界別にM&Aの最新動向をそれぞれ解説します。

IT業界

IT業界のM&Aは、メリットが大きくあらゆる分野で行われています。IT企業を買収し、新規参入のリスクを軽減するのが買い手の最新トレンドです。

売り手は逆に大手企業に参画し、豊富な予算と安定的な経営を得ています。今後も成長を続けるIT業界は、M&Aが活発化していくでしょう。

物流業界

人材不足、経営者の高齢化が原因で、物流業界のM&Aは増加傾向にあります。優れた技術を持っていても、後継者がいなければ事業を続けることはできません。

物流業界のM&Aは大手企業の傘下に入り、事業継続につなげるケースが多いです。ドライバーなどの従業員や取引先の説得がポイントとなるでしょう。

建設業界

建設業界は従業員の高齢化や人手不足の問題を抱えています。労働環境や賃金の低さが原因で、若年層の就業者不足が問題視されています。

M&Aは人材の確保や事業継承がスピーディーに行える有効な手段です。最近では大手企業が事業エリア拡大のために、地方の企業を買収するケースも増えています

サービス業界

サービス業界は、新型コロナウイルスによる影響を大きく受けた業界のひとつです。人材業は景気に左右されやすく、事業の縮小にともなったM&Aが盛んに行われています。

さらに、サービス業界は慢性的な人材不足を抱えています。M&Aは人材を大量確保できるため、買収することで解決するケースが増えています。

医療・介護業界

医療、介護業界は、人材、後継者不足の問題を抱えています。M&Aを利用し、子供に医業を継がせず、第三者へ託すクリニックが増加中です。

さらに、制度の変更による医療報酬の引き下げの影響から、経営難におちいる病院が目立ちます。合併やグループ化をすることで、経営の安定やエリア拡大などを達成しています。

美容業界

美容業界のM&Aでは、異業種のサロンチェーンの売買が増えています。例えば、美容院を主に運営するグループが、ネイルサロンを買収するなどのケースです。

異業種を取り込めば、サロンチェーンの価値の向上が叶います。従業員の雇用を維持することで、人材不足の問題も解決します。

エネルギー業界

脱炭素を求める動きが強くなっており、エネルギー業界のM&Aはこれからも成長が期待できます。

M&Aの注目度は、”再生エネルギーの供給”や”脱炭素社会への貢献”への意識の高まりと比例しています。太陽光発電の企業の売却、買収ともに増加傾向にあります。

広告業界

広告業界はマスメディア媒体がメインでしたが、インターネット、デジタル媒体への移行が進んでいます。大手企業、中小企業共にスピーディな事業転換が求められている業界です。

動画やデジタルサイネージ市場が注目されており、今後の成長が期待できるジャンルです。広告業界が今まで培ってきたノウハウを活かし、かつ新しいアイデアが求められる市場です。

M&A業界の展望

ここではM&A業界の展望を解説します。

ネットを活用した個人のM&Aが増える

ネットを活用したマッチングサイトが次々と生まれ、M&Aはもっと気軽になるでしょう。

今までは大きな規模の案件がメインでしたが、個人の起業の増加に伴い、中小規模のM&Aが活発です。

個人のM&Aは副業でも大幅に収入を増やせる可能性があります。中小規模のM&Aは今後も増加する流れです。

後継者不足による事業継承

日本は少子高齢化が進み、後継者不足による事業継承M&Aが増えています。第三者に事業を譲れば従業員の雇用や取引先との関係を維持できます。

事業を売却すれば、売り手側はまとまった資金を得られます。引退後の生活はもちろん、新しいビジネスをスタートすることも可能です。

コロナの影響による業界再編

新型コロナウイルスが原因で、飲食業界、旅行業界は厳しい状況が続いています。経営を継続させるには、新しいアイデアによる業界再編が必要です。

「UberEats」や「出前館」など宅配サービスの需要拡大を受け、デリバリーサービスを買収した企業もあります。

もともと人口減少による業界再編が叫ばれていましたが、コロナの影響により迅速な対応が求められています。

まとめ

M&A業界の業態のメインは、「M&A仲介会社」「ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス」です。どちらも経験値と専門的な知識を必要とするため、年収は高めです。

現在M&Aの増加を受け、優れたアドバイザーやコンサルタントの確保が必要とされています。M&AアドバイザリーやM&Aコンサルタントについては以下の記事にて詳しく解説しています。

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